素晴らしき世界
第15章 それはやっぱりあなたでした
厨房からは楽しそうな会話が
漏れ聞こえてくる。
ポツンと一人、取り残された気分。
ずっと思っていたこと……
生きている時に出会いたかった。
その願いが現実になったのに
全然、嬉しくない。
寧ろ心はどんどん沈んでいく。
思い出したら辛いのに、
2人で過ごした日々が
ずっと頭の中でリピートされている。
消えてなくなってくれたら
どんなに楽なんだろうか……
松「お待たせー、特製カキフライ定食」
松岡さんが、テーブルに料理を並べる。
松「さっ、食べて!」
目を輝かせながら俺を見る。
「いただきます……」
俺はカキフライを口に運ぶ。
初めて二宮さんの
料理を食べた日を思い出した。
あの日と同じ味……
「美味しいです」
松「だろー!おい、和」
厨房に向かって声をかける。
ニ「何ですか?」
二宮さんが厨房から出て
こっちに近づいてきた。
松「こちら、大野さん。
雅紀の友達のお兄さん。
お前の煮魚、大好きなんだよ」
松岡さんの話を聞いて、俺の方を見た。
生きている二宮さんと初めて目が合った。
ニ「そうなんですか……
ありがとうございます」
ニコッと笑って、頭を下げた。
その笑顔は大好きな笑顔ではなかった。
他人行儀な笑顔。
「いえ……煮魚、美味しかったです」
松「どうした?緊張してる?」
大野さんが俺の背中をパチンと
叩きながら笑っている。
俺は全く笑えない……
松「おい、お前も自己紹介!」
ニ「スミマセン、気がつかなくて。
初めまして、二宮和也です」
『初めまして』
突きつけられた現実。
分っていたはずなのに、
本人に言葉にされるとキツいな……
二宮さんは俺の存在を覚えていない。
俺と二宮さんの心の距離……
離れているだけなら幸せだった。
実際は距離なんてなかった。
俺の一方通行で……
俺には二宮さんが見えているのに
二宮さんは俺が見えていない。
永遠に交わることがないんだ……
「初めまして、大野智です」
俺は精いっぱいの明るい声で、自己紹介した。
本当は叫びたい……
初めなんかじゃない!
俺の事、思い出してよ!
二宮さんは俺の恋人なんだ!
松「どうした?
冷めないうちに食べろよ!」
「はい」
俺はまたカキフライを口に運んだ。
漏れ聞こえてくる。
ポツンと一人、取り残された気分。
ずっと思っていたこと……
生きている時に出会いたかった。
その願いが現実になったのに
全然、嬉しくない。
寧ろ心はどんどん沈んでいく。
思い出したら辛いのに、
2人で過ごした日々が
ずっと頭の中でリピートされている。
消えてなくなってくれたら
どんなに楽なんだろうか……
松「お待たせー、特製カキフライ定食」
松岡さんが、テーブルに料理を並べる。
松「さっ、食べて!」
目を輝かせながら俺を見る。
「いただきます……」
俺はカキフライを口に運ぶ。
初めて二宮さんの
料理を食べた日を思い出した。
あの日と同じ味……
「美味しいです」
松「だろー!おい、和」
厨房に向かって声をかける。
ニ「何ですか?」
二宮さんが厨房から出て
こっちに近づいてきた。
松「こちら、大野さん。
雅紀の友達のお兄さん。
お前の煮魚、大好きなんだよ」
松岡さんの話を聞いて、俺の方を見た。
生きている二宮さんと初めて目が合った。
ニ「そうなんですか……
ありがとうございます」
ニコッと笑って、頭を下げた。
その笑顔は大好きな笑顔ではなかった。
他人行儀な笑顔。
「いえ……煮魚、美味しかったです」
松「どうした?緊張してる?」
大野さんが俺の背中をパチンと
叩きながら笑っている。
俺は全く笑えない……
松「おい、お前も自己紹介!」
ニ「スミマセン、気がつかなくて。
初めまして、二宮和也です」
『初めまして』
突きつけられた現実。
分っていたはずなのに、
本人に言葉にされるとキツいな……
二宮さんは俺の存在を覚えていない。
俺と二宮さんの心の距離……
離れているだけなら幸せだった。
実際は距離なんてなかった。
俺の一方通行で……
俺には二宮さんが見えているのに
二宮さんは俺が見えていない。
永遠に交わることがないんだ……
「初めまして、大野智です」
俺は精いっぱいの明るい声で、自己紹介した。
本当は叫びたい……
初めなんかじゃない!
俺の事、思い出してよ!
二宮さんは俺の恋人なんだ!
松「どうした?
冷めないうちに食べろよ!」
「はい」
俺はまたカキフライを口に運んだ。