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素晴らしき世界

第15章 それはやっぱりあなたでした

【二宮side】

大「おかえりなさい……二宮さん」

俺に向けられた言葉。

大野さんの見つめる先には
他の誰でもない……俺がいる。

俺は、大野さんの涙を
止めることが出来なかった。


でも、いいよね?


今の涙はうれし涙だよね?


そっと指で綺麗な雫に触れた。


その涙さえ、愛おしい……


ゆっくりと大野さんの顔に近づいて
瞼にキスを落とした。

しょっぱい……

反対側の瞼にもキスをする。

けど、甘い……

大「くすぐったい」

幸せそうに笑う大野さん。

その笑顔は、
俺が忘れていた記憶の中にいた
大野さんと一緒だった。

大「二宮さん……」

「はい」

大「俺も……聞いていい?」

「何ですか?」


聞きたいことはわかってる。


大「僕のこと……好き?」

「はい」

大「本当に?」

俺は返事の代わりに大野さんの唇に
チュッとキスをした。

「信じてくれました?」

大野さんの両手が優しく、
俺の頬を包み込んだ。

大「言葉で聞かせて……」


熱を帯びた瞳で見つめられ、
俺の身体も熱が支配していく。


「俺は大野さんが好きです……大好きです」

その熱を誤魔化すように、
大野さんの胸に飛び込んだ。

大「うわっ!」

勢い余って、2人でベッドに倒れ込んだ。


触れて気が付いた……


大野さんの身体も熱に支配されていた。


大「二宮さん……苦しい」

「ごっ、ごめんなさい」

大野さんから離れようと
身体を起き上がらせた瞬間、
スルりと体制を変えらた。

俺を見下ろす大野さん。

大「キス、してもいい?」

ゆっくりと頷くと
大野さんの唇と俺の唇が触れた。


物足りない……


次がまた欲しくなる。


大「そんな顔しないでよ……」

「えっ?」

大「止められなくなる」


嬉しい……

欲しいのは俺だけじゃないんだ。


大野さんの首に腕を回した。

「止めないで……」

俺の言葉に大野さんの顔が変わった。

俺を捉えて離さない瞳が、
ますます欲望を加速させていく。

大「じゃあ、お願い聞いてくれる?」

「何ですか?」

大「智って呼んで。 あの日みたいに……」


大野さんの言葉で思い出した。

あの日、俺がしてもらいたかったこと……


「じゃあ、俺もいいですか?」

大「なに?」

「和也って……呼んで下さい」

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