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素晴らしき世界

第15章 それはやっぱりあなたでした

【智side】

和也の身体の上に倒れ込み、
首筋に顔を埋めながら呼吸を整える。

和「ねぇ…さと…し」

「ん?」

和「…重たい」

「あっ、ごめん!」

俺は勢いよく
預けていた身体を起き上がらせた。

和「んあっ…」

その瞬間俺のモノが、
和也の中からスルりと抜けた。

確か前にも、
同じような事あったよな……

「ふふっ」

思い出し笑いをしてしまった。


今まで思い出すのが辛かった。


でも、今は違う。


和と過ごした
幸せな『過去』に変わった。

『過去』があるってことは

和也とひとつになった
幸せな『現在(いま)』がある。

『現在(いま)』あるってことは

これから和也と過ごす
幸せな『未来』がある。

俺たちのあの頃は『明日』さえも、
いつ終わるかわからなかった。


和也と過ごす一分一秒が今は幸せだ。


和「もう……なに笑ってるんですか」

ムスっとした顔をしている和也。

また、笑ったら怒るよね?


だって……幸せだから……


「なんでもないよ」

そっと、和也の髪を撫でて
ベッドから降りようとすると、腕を掴まれた。

和「どこ……いくの?」

振り返ると寂しそうに俺を見つめる。


もう、可愛すぎる……


「タオル取ってくるだけだよ?
お腹、ベトベトでしょ?」

言わなくてもいいけど、
あえて理由を言ってみた。

すると、和也は慌てて手を離した。

俺の予想通り、耳まで真っ赤にして
腕をクロスして顔を隠した。

さっきまで、
もっと恥ずかしいことしてたよ?

言ったら怒りそうだから止めておこう。

「すぐ、戻ってくるからね」

俺の言葉に顔を隠したまま頷いた。

俺は浴室に向かい、
タオルをお湯で2枚濡らす。

自分のモノについた使用済みの避妊具を取り、
軽く身体を拭いた。

寝室に戻って、和也の身体を拭こうとしたら

和「自分でやり……うっ!」

起き上がろうとした和也が
腰を押さえてベッドに沈んだ。

「腰辛いでしょ?俺やるから」

綺麗に和也の身体を拭いた。


その後は、2人抱き合って目を閉じた。


安心して寝ることが出来た……


目を開けると、
俺の胸にピッタリくっついて眠る和也。


和也は消えていない。


ここにいるんだ……


それを確かめるようにギュッと抱きしめ
また夢の世界へ身を投げた。

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