テキストサイズ

素晴らしき世界

第18章 What is the most stupid thing?

その日から相葉くんを
傷つける日々が始まった。

とことん相葉くんを避けた。

どうにか俺と話をしたくて、
休み時間になる度に教室を覗きに来る。


でも、俺は気づかないフリをした。

そして来るのを諦めてくれるように
休み時間は潤以外と過ごすようにした。


相葉くんは明るくて人気者だけど、
人見知りが意外に激しい。

だから自分が知らない人と俺が話してたら、
絶対に輪に入ってこれない。

毎回、声をかけようとしては
その光景を目の当たりする相葉くん。

そして、いつも寂しそうに
肩を落として帰っていく。

俺はその姿を
見つめることしか出来なかった。


心の中で『ごめんね』を
何度も繰り返しながら……


そして月日が経つにつれて
1日……また1日と相葉くんが
教室に来ない日々が増えていった。

潤から聞いた話では、
3年生が引退して相葉くんは
バスケ部のキャプテンになったらしい。

自分の事以外に使わないといけない時間が
増えたんだと思う。


それでいいんだよ。

俺の事なんて考える暇なんてないくらい、
部活に打ち込んでくれればいい。


きっと、張り切ってるだろうな……

その姿、見たかったよ……


そんなある日、ふと授業中に
グラウンドを見つめると
相葉くんのクラスが体育をしていた。

相葉くんの両隣には
大野先輩と櫻井先輩がいた。


俺が無視を決め込むことが出来たのは
櫻井先輩と大野先輩、潤のお陰だ。


潤もそうだけど、俺が相葉くんを
無視していたのは周知の事実だった。

でも、俺を責めるやつは誰一人いなかった。


俺の恋に気づいていたのか……

相葉くんの恋に気づいていたのか……


それはわからない。


でも、俺は確信があった。

3人がそばにいてくれたら、
相葉くんは大丈夫だって。

だから無視を決め込めた。


だって俺が認めた相葉くんの
そばにいてもいいと思った親友だもん。

きっとフォローしてくれる。

だから今も明るい笑顔を振り撒いてる。


うん、これで心置き無く、離れられる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ