テキストサイズ

素晴らしき世界

第18章 What is the most stupid thing?

「やっぱり翔さんが一番だね」

「そんなことねーよ。
今、来たところだから」

殆どの社会人が休みの土曜日なのに、
櫻井先輩はスーツを着ていた。

出来るビジネスマンの雰囲気が漂う。

高校時代の成績もトップで、
確か有名な大学に合格したって潤に聞いた。


きっと一流企業に就職したに違いない。


だって、ネイビーの生地が
雰囲気のある照明に当たり、
光沢感を増している。

絶対に高いスーツだ。


こういう事に関しての勘は間違いない。


「よっ、にの。久しぶりだな」

「はい、お久しぶりです」

「もう学校も卒業したんだし、
敬語は無しにしようぜ」

「そうそう、堅苦しいのは止めようぜ」

勢いよく潤は櫻井先輩の隣に座る。

「お前は砕け過ぎなんだよ」

ペチッと潤の頭を叩いた。


高校時代と同じ雰囲気……


櫻井先輩だけじゃなく、
大野先輩や相葉くんにも
物怖じすることなく
突っかかってたもんな。

「何、突っ立ってんだよ。
ほら、ここに座れよ」

「えっ?」

ポンポンと叩いて示す場所は、
俗に言うお誕生日席。

「断る権限はないからな。
何にも言わず引っ越して……
今日はにのが主役なんだからな!」


それを言われると、反論できない……


示された席に座ると、櫻井先輩と潤は
しめしめと言わんばかりに笑っていた。


コンコン…


「はーい」

潤が明るく返事すると引き戸が開き、
大野先輩の姿が見えた。

水色のシャツに白の短パン、
靴じゃなくてサンダル。


格好はいい意味でラフ。

悪い意味で言うと無頓着。

絶対に金かかってないもん。


当時から似てると思ってたんだよな……

ファッションへの考え方。


でも昔と違うのは
見えている肌がこんがりと焼けている。

そして昔と変わらない目を細めて笑う姿に
懐かしさを感じていると、
手を広げて俺に駆け寄ってきた。

「うわっ!」

大野先輩の行動を
疑問に思いながら見ていると、
俺の前で腰を曲げて抱きついてきた。

「にぃーのぉー」


忘れてた……

大野先輩、昔も俺に抱きついてたな。


「暑苦しいっ、離せっ!」

昔と同じように抵抗してやった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ