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素晴らしき世界

第20章 2人の怪獣

「はい、そうです!」

まぁ、元気いっぱい答えたねぇ……

さんまさんに向ける笑顔が眩しすぎますよ。

「ええなぁ……
今、俺おらんから羨ましいわぁ」


ここで止まってくれよ……

次に出てきそうな言葉が予想される。


「で、誰やねん?彼女。芸能人か?」

もう、予想を裏切らないね、さんまちゃん!

って、思っている場合じゃない……


相葉さん、まさか……答えないよね?

「芸能人っすよ」


答えたぁぁぁぁぁぁ!

こっちも期待を裏切りません……


「そうなんかいな!俺が知ってるヤツか?」

もう、質問が止まらないさんまさん。

「よく、知ってる人ですよ?」

チラッと俺の事を見る相葉さん。


そうです……ここにいますから。


「勿体ぶらんと教えてーや!」

「それは嫌ですよ!
さんまさん、おしゃべりですから」

「あほ、見かけによらず口硬いわ!」

「ホントにぃ?」

怪しい目で見つめる相葉さん。

「う~ん、喋っちゃうかも?」

口を手で押さえるさんまさん。


俺は2人のコントを見ているのか?


「おい、二宮は知ってるのか?」

「えっ?」

「何や、気の抜けた返事しやがって。
油断禁物やぞ?で、誰やねん?」

「いやっ、それは……」


知っていると言えば知ってるけど……

『俺なんです』なんて言えるわけない。


頭をフル回転していると、
さんまさんは俺の回答を待たずに、
お得意の引き笑いを始める。

「お前は誰にも好きなヤツが出来ても
言わへんって言ってたけど……
それやったらバレバレやで?」

「へっ?」

「長い時間、付き合わせて悪かったな。
また、一緒になったときはよろしくな?」

「ちょっと、さっきの……」

「はい、よろしくお願いします」

相葉さんは俺の言葉を遮り、頭を下げた後
俺の手を引っ張り、楽屋を出た。


「ふぅー、長かったね?」

「もう、何なんだよ……さんまさん」

さっきの疑問を払拭することが出来ない。

すると隣で相葉さんまで笑い出した。


わかってないのは俺だけなの?


イラッとした俺は
相葉さんの手を振り解いて楽屋に戻った。

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