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素晴らしき世界

第21章 嫌いの向こう側

メンバーは言葉を失った。


『4人での活動』


すなわち、ここにいないアイツが
活動から離れるという事。


せっかく軌道に乗りかけたのに……


どうして頑張っている俺たちに
迷惑をかけるようなことをするんだ。


「どういう事ですか?」

翔くんが深刻な顔でマネージャーに聞いた。

「そんな顔するなよ」

俺たちの心配を他所に嬉しそうに笑っている。


何か問題を起こしたわけじゃなさそうだ……


握りしめていた拳の力をゆっくりと緩めた。

「お前たちには伝えてなかったが、
2005年にある映画のオーディションを
受けてたんだ」

「オーディション……ですか?」

相葉くんの疑問は尤もだ。

ジャニーズJr.の時は受けていたが、
嵐になってオーディションを
受けた記憶は無かった。

「お前たちは舞台や映画、ドラマと
仕事があったが二宮だけ無かっただろ?」

そう言えばそんな時期があったな……

暇そうにしてたもんな。

「『何でもいいから仕事下さい』
って二宮が言うから俺も驚いたよ。
で、オーディションを受けてもらった。
まさか合格するとは思わなかったよ」

「で、どんな内容の仕事なんですか?」


冷静に質問した。

でも実際は腸が煮えくり返っていた。


アイツごときに喜びやがって。

俺だって、きっと合格した。

アイツが出来て、俺に出来ないわけがない。

きっと大したことない。

どうせ、映画かなんかだろ?


「ハリウッドの映画に出演する」


「「「「ハリウッド!」」」」

俺たちは一斉に声を荒げた。


「そうなんだ。撮影の関係で海外に
長期滞在になるから……約2か月くらいかな?
4人で活動するからそのつもりで」

メンバーの口から
次々に驚きと称賛のが声が上がる。


俺は悔しかった。

海外では【ジャニーズ事務所所属】という
大きな看板は無意味だ。

実力でアイツは、
映画の出演を勝ち取ったんだ。


俺は初めてアイツに負けた……

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