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素晴らしき世界

第25章 勝手に挑戦、受けて立つ【交流戦第一試合】

「もう……どうしたらいいんだよ」

俺の脚の上で項垂れる潤。


いつも男らしくてカッコよくて、
頼りない俺を引っ張ってくれる潤。


でも今は正反対で……


可愛いからかな?


守ってあげたくなる。


「潤……おいで?」

柄じゃないことをしてるのはわかってる。


でも……したいんだもん。


手を広げて待ち構えると、
潤が一瞬ビックリして目を見開いたけど、
すぐに目を細めた。

ぽふっという効果音が似合う様に、
幼い潤は俺の胸に飛び込んできた。


初めて潤を抱きしめるという感覚を味わう。


潤も抱きしめきれない俺の背中に
ギュッと腕を回す。

何か甘えられているみたいで嬉しい。


潤もいつもと違う何かを感じているのかな?


それはきっと不快な状況じゃない。

って、幼くなったことは何とも言えないけど……


「ねぇ、潤」

「ん?」

顔だけ胸から離れ、上目遣いで俺を見つめる。


もう、止めてよ……

俺にあざといなんて言うけど、
今の潤もあざといよ?


「せっかくだから出かけない?」

「えっ?」

出不精な俺の発言にビックリしてる。


俺だってビックリしてるよ?


戻る方法を考えたって答えは出ない。

それならごちゃごちゃ考えるだけ時間の無駄。


それにいつも潤は言いてるじゃん。


「今を楽しまなくっちゃ……でしょ?」

「そうだな」

言葉遣いはいつもの潤なんだけど、
声の高さと笑顔は幼くて可愛い。


もう……キュンキュンが止まらないよ。


「じゃあ、早速準備……あっ!」

「どうしたの?」

スッポンポンでベッドに立つ潤を見つめる。

「服が……ない」

「なぁぁぁぁぁぁ!あっ?」

何度目の叫びだろう……

でも、語尾が違った。

「あれ……」

指差す窓の下には綺麗に畳まれた小さな服。


一応、準備してくれてるのね。


「よし、着替えよう!」

「えっ?」

ばっと服を取り広げると、
頭に服を被せて着させた。

「じっ、じぶんでやるよ」

「遠慮しないの。
あっ、見て見て!小さなブリーフ」

「まじか……おいっ、やめろ!」

恥ずかしがる潤を堪能しながら、
服を着替えさせてやった。

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