テキストサイズ

素晴らしき世界

第26章 勝手に挑戦、受けて立つ【交流戦第一試合(延長戦)】

唖然とするカズ。

でも迷っている暇はない。

「よし、やるぞ」

「えっ?嘘……ホントに?」

「ホントっ、ぬっ…ぬげねぇ」

明らかに動揺しているカズを無視して、
ダボダボTと化した服を脱いだ。


肩を掴んでカズをベッドに……


「ちょっ、ちょっと待って!」

って、倒れないっ!

必死に押すけどカズの身体はびくともしない。


子どもだから力が……弱いっ!


でも、それだけじゃない。


カズも倒れないように力を入れてる。


「なんで?おれにもどってほしくないの?」

「いや、そうじゃなくて……」

「じゃあ、いいでしょ?」

見上げて懇願すると、
なせがカズの頬が緩んでいく。


何か俺だけ必死になって……虚しい。


「俺……幼い潤に抱かれるの?
何か犯罪犯してる気分だし……」

最もな事を言われた。


じゃあどうすればいいんだよ。

って、どこ見て……


「なぁぁぁぁぁぁぁ!」


おっ、俺の……小さくなってる!!!!!
↑小指サイズ

でも、反応は普段と変わらない。

ピーンと存在を主張してる。


それでも小さいけど……


「もう……どうしたらいいんだよ」

カズの脚の上にへたりこんだ。


これじゃ満足にカズを抱けない。

若返る前の方がよっぽどマシ。


「潤……おいで?」

優しい声が頭上から聞こえた。

ゆっくりと顔を上げると、
カズが両手を広げて俺を待っている。


普段はもちろん受け身のカズ。

自分で何か行動する事はない。


それにも驚きだけど、
俺を見つめる顔は今まで見た事のない表情。


その目は優しく……俺を見守るような感じ。


俺は引き寄せられるように
今まで感じた事のない
大きなカズの胸に飛び込んだ。

ギュッとカズの腕に抱きしめられて、
俺も必死に短い手で抱きしめ返す。


聞くことのなかったカズの
心臓の鼓動が心地よくて安心した。


少しだけ、今の状況も悪くないな……



「ねぇ、潤」

「ん?」

見上げるカズの顔にドキッとした。


いつも可愛いって思ってたけど……


揺れる事なく真っ直ぐに俺を見つめる
力強い琥珀色の瞳が大きく感じて……



少しだけ……カッコいいなって思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ