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素晴らしき世界

第29章 夢か幻か

俺は期待に胸が膨らんだ。

だってもし俺の予想が当たっていれば、
今までの行動はすべて理解が出来る。


だから、確かめさせて?


「ニノ?」

夢の時と同じように呼びかけると、
ニノは胸の中でブンブンと首を横に振る。

「俺さ、夢を見たの」

その言葉にニノがピクっと震えた。

「好きな人に……告白されたの。
俺、めちゃくちゃ嬉しくてさ。
ニノが言う通り笑ってたと思う」

ニノは何も言わず、俺の話を聞いてる。

「でもさ、これをニノに話したって事は
正夢に……ならないんだよね。
俺さ、そんなつもりはなかったんだけど……
正夢になったらいいなって思ってた」

「そんなに……好きなの?その人の……事」

くぐもった声が聞こえた。


あの夢の中の時の様に泣いてるの?


夢の中のニノも、
今のニノもバカだな……

って、夢の中の俺と同じように
今のニノを泣かせたのは俺だよな。


悲しむ必要なんて……ないんだよ?


「ニノ、こっち向いて?」

ブンブンと首を横に振って嫌がるニノ。

俺は身体を少し離して
ニノの頬を包むと上を向かせた。

夢と同じように必死に目を擦って
涙を隠そうとするニノの手を止めた。

「ニノ、責任取ってよね?」

予想外の言葉にニノが動きを止めて
ようやく俺の事を見てくれた。

「ニノが正夢にしてよ」

「えっ?」

いくら頭の回転が早いニノでも、
俺の言葉を理解することは出来ない。

「言って?『俺が好きだ』って」

その言葉に目を見開いて驚いた。

「えっ?ちょっ、ちょっと待って」

潤んだ瞳がまたゆらゆらと揺れた。

「相葉さん、もしかして……」

俺を見つめて答えを言わそうとしてるけど、
絶対に言ってやんない。


だって、夢でも
1回しか言ってくれなかったんだもん。


ちゃんとで聞かせて?


「俺……相葉さんが……好き」


夢と同じ言葉だけど……

夢と違って俺の目を見て告白してくれた。

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