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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「うわっ!」

「……うわっ!」

「うげっ!」

俺の叫びの後にニノの叫び、
そして俺の苦痛の声と続いた。

俺はラグの上に仰向けに落下し、
その上に重みが無くなって
バランスを崩したニノが落ちてきた。

「いってぇぇぇ」

ガッツリ腰をぶつけたし……

俺がケガしちゃったら元も子もない。

「ニノ、大丈夫?」

上に覆いかぶさっている
ニノの頭を優しくポンポンとした。


でもニノがラグに落下しなくてよかった。


「ビックリ……した」

ニノはゆっくりと上体を起こした。

「痛くない?」

「うん、大丈夫。相葉さんは?
すんごい落としたんだけど……」

俺の服をギュッと掴み、
伏し目がちに聞いてきた。


さっきは散々、雑な扱いをしたのに……


普段、どんな時も冷静に対応する
ニノからはホント想像できない。


でもそれって俺だからかなって
少しだけ優越感に浸っちゃうんだよね。


「俺もそんなに柔じゃないよ。
ビックリして振り付けは少し飛んだけど」


そして唯一、からかうチャンスでもある。


「それは関係ないじゃん!」

「いーや、関係ある」

膨れっ面になるニノの顔を近くで見たくて
俺は上半身を起き上がらせた。

「じゃあ、初日はミスしてない?」

「そっ、それは……」

「テンション上がって、
立ち位置に慌てて戻ったのは誰ですか?」

俺を怪しい目で見つめるニノ。


いつもはここで怯むけど、今日は違う。


「ニノだってユニット曲、
ワンフレーズ飛ばしたじゃん」

「相葉さんだって間違えたでしょ?
それにトロッコ降りる位置も間違えてた。
あとは……」

ニノの間違いは俺の間違いにかき消され、
饒舌は留まる事を知らない。


こうなったら実力行使だ……

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