テキストサイズ

素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「大丈夫ですよ?」

「そっか……」

家に押しかけてから何度目かの質問に
いつもと変わらない声色で答えるニノ。


それが俺の聞きたい質問に対する
大丈夫かはハッキリわからない。


「でも、腰が冷えました。
お風呂……沸かしてきてください」

「えっ?なんで俺が?」

俺は抱きしめていた身体から離れた。

「ここにタダで住んでるんだから、
それくらいして当たり前でしょ?」

「でも俺、料理作ったりしてるじゃん!」

集中すると食事は二の次になるから、
ニノの健康を考えて晩御飯や朝食も作る。

「それも当たり前です!
ほら、早く行った行った」

シッシと俺を手で追い払う。

「はいはい、させていただきますよ」

「うわっ!」

ニノの脇に手をいれると、
ヒョイっと持ち上げてソファに座らせる。


軽すぎる……

明日は餃子でスタミナつけさせるぞ。


「腰が痛いなら……
マッサージ後でしてあげるね?」

俺は立ち上がるとニノの耳元に近づけた。

「とびっきり厭らしいマッサージ」

「なっ……」

顔を真っ赤にして目を見開き、俺を見つめる。


ホント、こういう冗談にはめっぽう弱い。

いつも初々しい反応なんだよね。


「だってタダで
住ませて貰ってるんだからね?」

俺は浴室へと向かう。

「俺がするから大丈夫!」

ニノも慌てて浴室へと向かうから、
狭い道を二人で競争する形になる。

そして2人同時に給湯ボタンを押した。

「「ぷはっ」」

こんな事に必死になっていた俺たちに
思わず吹き出してしまった。

「バカだね、相葉さん」

「ニノもだろ?」

「俺は付き合ってあげただけです」

スタスタとリビングに戻るニノ。


前を向く顔が、笑顔だったらいいな……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ