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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「あっ!松潤、俺の帽子被ってる!」

「たまたま近くにあったから被ってきただけ」

「嘘つけ、気に入ってるんだろ?」

松潤の横に移動すると、
肘て脇腹をツンツンしている。

「止めろよぉ」

邪魔してくるリーダーに、
松潤は映像を見るのを諦めて
ノートパソコンを閉じた。


ずっと見ていたから、いい休憩になるだろう。


「みんな、おはよー」

リハーサルで先に入っていた翔ちゃんが
楽屋に戻ってきた。

「おはよ、お疲れー」

一目散にソファーに向かうと、
勢いよく腰を下ろして身体を投げ出す。

「コーヒーいる?」

「とびっきり甘いのお願いしてもいい?」

「りょーかい」


松潤はよく気が利く。

ちゃんと周りの状況を見ていて、
何をすべきか瞬時に判断する。

ちょっとしたメンバーの
体調の変化にも気がついて薬をくれる。


まさに嵐の救急箱。


「はい、どーぞ」

「サンキュー……って、あんめー!」


しっかり者だけど……

たまに悪戯っ子になるんだよな。



久しぶりに楽屋に広がる笑い声。



今でこそ俺たちは昔と違い落ちついて
収録以外は誰とも話さない事だってある。

楽屋は昔、ベラベラと喋る場所だった。


若かったし……

学生ノリっていうのがあったのかもしれない。


でも今は、それぞれの仕事をしたり
身体を休める場所になった。


だけど誰かが大きな仕事をしている時や、
大きな仕事が控えている時はこんな風に
楽屋が明るい雰囲気になる。


俺はこの空間が大好きだ。


俺たちの居場所、
『ホーム』だって思えるから……


みんなもそうだったらいいな。


きっと、ニノもだよね?


ゲームの合間にチラッと様子を伺い、
嬉しそうに笑う姿を見てそう思った。

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