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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

コンコン…


「はーい」

どんなに疲れていても
返事をするのはやっぱり翔ちゃん。

「おはようございまーす」

元気よく入ってきたのはジャンプの面々。

「今日は宜しくお願いします」

薮が代表で挨拶をすると、一斉に頭を下げる。

「こちらこそよろしくー」

翔ちゃんが笑顔で答えると、
ジャンプの緊張も解れていく。

「あっ、紅白初出場おめでとう」

松潤が拍手をしながら
お祝いの言葉を口にした。

「ありがとうございます」

みんなの声がワントーン上がった。


世間では紅白に出場することに
昔のような価値は無いなんて言うけど、
やっぱり国民的歌番組の出演者に
選ばれることは嬉しい。


「緊張するぞー」

「ちょっと、止めて下さいよ」

俺の言葉にに伊野尾が情けない声を漏らす。

「先輩ぶってるあなたも
毎回、緊張してるでしょ?」

「それ、言うなよ!ってか、俺は先輩だ!」

容赦ないニノのツッコミに
笑いが起きたのは一瞬だけで……

「二宮くん……」

薮の神妙な声に静まり返った楽屋。

「紅白本番、よろしくお願いします」

一斉に頭を下げると、
ニノもゲームをする手を止めた。

「俺こそ、よろしくね。
色々と助けてもらうと思うから……」


なかなか先輩らしいニノって見る事がない。


大人になったんだな……って、
親心にも似た感情を持ってしまう。


けど、何より嬉しいのは
司会に批判的な意見がある中でも
ニノが司会をすることに心強さを
感じてくれる人達がいる事。


後輩だし、身内だけどね?


「まぁ、相葉さんよりは
上手く司会できるから安心して!」

「おい、ニノっ!」

「はい!」

「おい、伊野尾っ!」

ちゃんと明るい空気に戻すのが
ニノなりの気遣い。


でも……俺の司会をオチにするな!

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