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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「では、失礼します」

形式的な挨拶を済ませると
乃木坂さんは早々に楽屋を出ていった。


ニノに対しての挨拶も
ただの社交辞令かもしれない。

触れないわけにもいかないしね?


でも去年の俺にとってその挨拶は
『プレッシャー』として大きくのしかかった。

たくさんの人から『お願いします』って
言われることなんてそうそう無い。

後輩ならまだしも……

先輩であったり、それこそ大御所と
呼ばれる方も俺に頭を下げる。


『それだけの大きな仕事』って、
紅白の司会を引き受けた時から
ちゃんと理解していたつもりだったけど……

その気持ちは浅はかだって気づかされた。



ニノは……大丈夫?



俺は嵐として
『初の単独司会』のプレッシャー。

ニノは嵐として
『2人目の単独司会』のプレッシャー。


きっと俺以上のプレッシャーがあると思う。



誰だってそうだけど……失敗は許されない。



だってニノは『嵐』として2人目の司会。

初めての司会だけど初めてじゃない。


紅白司会の合同取材で珍しく
『自分の名前を言った瞬間に
緊張するんじゃないかな』って言ってた。

俺がオープニングで
噛んだこともまた言ってたけどね?


また俺をオチに使って……


開始早々の失敗は、
俺にとって苦すぎる思い出だ。

でもニノにとって司会へのハードルが
下がったのなら悪くなかったのかも。


いや、ダメだったものはダメなんだけどね。


チラッとニノを見ると、
スマホを操作し再びゲームを始めていた。


今日みたいに紅白の話題に触れる事が
多くなってきたけど何も変わらない。


大御所と呼ばれる俳優さんと
共演する機会が多いから案外……

肝が据わっているのかな?

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