テキストサイズ

素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

きっと司会の大変さを今日一日の
翔さんの仕事ぶりを見て感じたんだと思う。

だからちゃんと帰ってくるのを待って、
『お疲れ様』って言いたかったんだ。

インタビューが終わって帰ってきたら
誰もいないって嘆いてたしね。


それならそうと素直に言えばいいのに……


何があったのと言わんばかりに
翔ちゃんが俺を見ていたから
ニッコリと笑っておいた。

「さてと……帰りますか」

あれだけ帰りたがらなかったニノは
あっさりとソファーから立ち上がる。

「あっ、ちょっと待って!
せっかくだし……このまま飲みに行かない?」

「えっ?」

「2人もお昼から仕事でしょ?
やっと肩の荷が下りたから、
ガツーンと飲みたいんだよね」


さすがよくスケジュールをご存じで……


「嫌です。家でのんびりしたいので」

さっきまでのニノの気遣いは何処へやら。

ニノがあっさりと断ると、
俺は心の中でガッツポーズした。


翔ちゃん、ごめんね?


「でも、家ならいいですよ?」

「はい?」

「今日はお鍋でしょ?」

「そうだけど……」

「お鍋なら、食べる人が
多い方が楽しいでしょ?」

「お鍋、いいじゃん!それで決まり。
じゃあ、急いで着替えるから」

物凄い早さで着替える翔ちゃん。


もう、行く気満々じゃん。


2人鍋が……

イチャイチャする時間が……


「お待たせ!って、どうした?」

項垂れる俺の肩をポンポンと叩いた。

「翔ちゃんのばかー!」


八つ当たりくらいさせてくれ!


「こらっ、あいバカ!」

「ふぃたぁい」

おもいっきり俺の頬をつねるニノ。

「お腹空いたから、
グチグチ言ってないで早く帰るよ!」


嬉しそうに笑うニノにやっぱり俺は弱い。


「よし!早く帰るよ、翔ちゃん」


今日は今日で楽しい夜になりそうだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ