素晴らしき世界
第5章 家族ゲーム
母さんが手を振りながら駆け寄る。
「待った?」
「ううん、僕も今来たところだから」
俺が隣に来たのを確認すると
「ずっと話してた私の息子の潤。
ほらっ、挨拶しなさい!」
挨拶しなくたって俺のこと知ってるよ。
きっと母さん以上に……
「……どうも」
「初めまして、大野智です。
潤くんの話はよく耳にしているから
何だか初対面だとは思えないよ」
優しく俺に微笑みかけた。
初対面じゃない……
母さんに出会う前に俺たちは出会った。
大「立ち話もなんだから、
とりあえず入りましょうか?」
優しく母さんをエスコートする。
目の前の光景に嫉妬心が止まらない。
仲居さんに案内されたのは
奥にある個室。
暫くすると食事が運ばれてきた。
『美味しいね』なんて
ありきたりな会話だけが部屋に響く。
フルーツを食べ終わると、
母さんがゆっくり深呼吸した。
「あのね、潤……」
語り始めたのは2人の馴れ初め。
つまりノロケ話。
聞いてて笑いそうになる。
だってそれは『俺たち』が考えた筋書き。
運命でも何でもない。
母さんとの出会いは、
俺たちが『家族』になるために仕組んだ
必然の出会いなんだから。
それを母さんは嬉しそうに話す。
でも、少しずつ苦痛が襲う。
話を聞いていたら
嫌でも2人でいるところを想像してしまう。
もう、止めてくれ……
「もう、いいから……」
「えっ?」
「今日、会わせたかった理由はなに?」
少し怒った口調の俺に
母さんは戸惑っていた。
大「回りくどい言い方
しなくてもいいんじゃない?
それとも、僕から言おうか?」
えっ……?
大「実は……」
止めて……
「待って、私から言うから」
母さんが言葉を遮った。
大「わかった」
母さんはもう一度深呼吸して
「大野さんと将来を考えてる」
俺たちの計画のゴールが見えた。
嬉しいハズなのに気持ちは複雑で……
「いいんじゃない?」
「えっ?」
「自分の幸せ考えたら」
「ホントに?」
「この状況で嘘つく?」
母さん、すべてが嘘だよ……
「……そうね。ありがとう、潤」
目に涙を浮かべていた。
大「良かったね」
母さんに向ける笑顔。
それも嘘なんだよ……
「待った?」
「ううん、僕も今来たところだから」
俺が隣に来たのを確認すると
「ずっと話してた私の息子の潤。
ほらっ、挨拶しなさい!」
挨拶しなくたって俺のこと知ってるよ。
きっと母さん以上に……
「……どうも」
「初めまして、大野智です。
潤くんの話はよく耳にしているから
何だか初対面だとは思えないよ」
優しく俺に微笑みかけた。
初対面じゃない……
母さんに出会う前に俺たちは出会った。
大「立ち話もなんだから、
とりあえず入りましょうか?」
優しく母さんをエスコートする。
目の前の光景に嫉妬心が止まらない。
仲居さんに案内されたのは
奥にある個室。
暫くすると食事が運ばれてきた。
『美味しいね』なんて
ありきたりな会話だけが部屋に響く。
フルーツを食べ終わると、
母さんがゆっくり深呼吸した。
「あのね、潤……」
語り始めたのは2人の馴れ初め。
つまりノロケ話。
聞いてて笑いそうになる。
だってそれは『俺たち』が考えた筋書き。
運命でも何でもない。
母さんとの出会いは、
俺たちが『家族』になるために仕組んだ
必然の出会いなんだから。
それを母さんは嬉しそうに話す。
でも、少しずつ苦痛が襲う。
話を聞いていたら
嫌でも2人でいるところを想像してしまう。
もう、止めてくれ……
「もう、いいから……」
「えっ?」
「今日、会わせたかった理由はなに?」
少し怒った口調の俺に
母さんは戸惑っていた。
大「回りくどい言い方
しなくてもいいんじゃない?
それとも、僕から言おうか?」
えっ……?
大「実は……」
止めて……
「待って、私から言うから」
母さんが言葉を遮った。
大「わかった」
母さんはもう一度深呼吸して
「大野さんと将来を考えてる」
俺たちの計画のゴールが見えた。
嬉しいハズなのに気持ちは複雑で……
「いいんじゃない?」
「えっ?」
「自分の幸せ考えたら」
「ホントに?」
「この状況で嘘つく?」
母さん、すべてが嘘だよ……
「……そうね。ありがとう、潤」
目に涙を浮かべていた。
大「良かったね」
母さんに向ける笑顔。
それも嘘なんだよ……