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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

ひとしきりの絡みが終わると、
それぞれ先輩と話し始める。

「ねぇ相葉、バイク買うの?」

「うーん、考えてはいるんですけど……」

先日、『嵐にしやがれ』のロケで
長瀬くんとツーリングの旅に出た。

久しぶりのバイクの運転にビビったけど、
風を切って走る爽快感は最高だった。


欲しい事は欲しいんだけど……


「まぁ、バイク買ったら定期的に
走らせないといけないからな」

「ですよね……」

その話はロケの時に聞いていたし、
メンテナンスなどきちんとする自信はない。


それにしても……

顎を擦りながら考え込む姿は絵になる。

バイクを運転する後ろ姿も、
めちゃくちゃワイルドでイケていた。


ホント、男が惚れる男って感じ。


「もし良かったら俺が貸すよ?」

「えっ、マジっすか!」


そんな太っ腹なところも……


「たまには外に連れて出てやれば?」

「えっ?」

長瀬くんの目線が一瞬、ニノに向いた。

「色々と考えたり煮詰まった時には、
カーっと走るのが一番だよ」


俺ならきっと嫌なことを、風と共に
吹き飛ばしてスッキリしそうだけど……


「でもニノは『寒い』って文句言いますよ」

「ぷはっ、アイツなら言いそうだな」

「なに、楽しそうに話してるんだよっ!」

「うわっ!」

長瀬くんの笑い声に引き寄せられたのか、
松にぃが俺の肩に後ろから勢いよく腕を回す。

「お前……ちゃんとニノ見てろよ」

「なんっすか、いきなり……」

「ん、言ってみただけだよ。
ニノは去年、ちゃーんとお前を見てたぞ」

わしゃわしゃと俺の髪を撫でた。

「わかってますよ!」

松にぃと長瀬くんの優しい眼差しの先に、
楽しく談笑する山口くんとニノの姿があった。

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