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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

でも、一番忙しいのはニノだ。

今日も俺より先に家を出た。


きっと紅白関連の
打ち合わせなんだろうな……


年末はレギュラー番組の忘年会が続き、
帰りが遅くなることも少なくない。

ニノも例外じゃない。

ご飯も付き合いで
外で済ませる事が多くなった。

仕方のない事だけどすれ違いの日々が増えて、
帰ったらニノが先に寝ている時もあるし、
俺が先に寝ちゃっている時もある。

それでも後からベッドに入る時、
先にベッドから出る時にニノの温もりを
感じてホッとするんだ。

『今日もお疲れ様』『今日も頑張ってね』って
頬を撫でながら心の中で伝えるのが日課。


だから今日、久しぶりに寝てないニノに会う。


きっとスケジュールがパンパンだから
入りもギリギリなんだろう……


ん?

もう来てる?


定位置に座ろうとした時、
ニノの鞄が目に入った。


今日のメイクの順番はリーダーが最初で、
2番目が俺、最後がニノだった。

荷物はあるもののニノの姿はない。


どこに行ったんだろう?


カチャ…


楽屋のドアが開いて、
俺が探していた人が入ってきた。

「相葉さん、おはよ。スタジオに
早く入れたので先にメイクしました。
お次、どーぞ」

「仕事、早く終わったの?」

「まぁ、私にかかれば巻きますよ」

自慢げに笑うニノを見て流石だなって思った。


何事に対しても要領がいいからな……


「はいはい。そーですか」

いつも通り俺もそっけない風の返事をしたら、
『はぁー』と大きな溜め息が聞こえた。


コンサートの演出の問題でもあったのかな?


「どうしたの?」

「あのさ……」

「あっ、J!この演出なんだけど……」

松潤の言葉はニノの声に阻まれ、
続きを聞くことはできなかった。

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