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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

松潤が俺に何を言いかけたのか
気になったのは一瞬で……

メイクが終わると打ち合わせ、
そして収録がスタートした。

楽屋ではゲストの方もいるので、
話を聞くタイミングもなかっただろうし
何より疲労でその事は頭から消えていた。


怒涛の収録を終えて、観覧のお客さんに
お礼を言うと早々にスタジオを後にし
俺たちは楽屋へと戻った。

「もう……疲れたっ!動けない」

ソファーに腰を下ろすと、
身体を投げ出すリーダー。

「おじさん、ホントお疲れ様です」

翔ちゃんがコーヒーを差し出した。

「ん、ありがと」

ズズッとコーヒーを啜る姿は
完全におじいちゃん。


何か緑茶に見えるよ……


「相葉くん、ニノ、コーヒーいる?」

「うん、ありがとう」

松潤が自分の分を入れながら
気を利かせてくれた。

「ごめん、俺……まだ仕事あるから」

いつの間にかニノは着替え終わっていて、
帰る準備を始めていた。

「行ってらっしゃい、無理しないでね」

早足に出ていくニノの背中に声をかけると、
手を上げで返事をしてくれた。


今日も……遅いのかな?


ニノの姿が消えて閉まる楽屋の
ドアを見つめながら考えていると
『はぁー』とまた大きな溜め息が聞こえた。


「松潤……どうしたの?
収録前も溜め息ついてなかった?」

振り返ると腕組みをして
ソファーに踏ん反り返る松潤がいた。


この態度は朝早い集合の時と同じ。



たぶん……機嫌が悪い。



でも、さっきまで普通だったよね?

5分も経たない間に何があったの?


「松……潤?」

触らぬ神に祟りなし……なんて言うけど、
声をかけてしまったので引くに引けなかった。

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