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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「あのさ……ニノと一緒に住んでんだよね?」

「えっ?う、うん」

上体を前に傾け、膝に肘をついて
手で顎を支えながら俺を見つめる。


というか……睨まれている。


その迫力に少し動揺したけど、
聞いてきた質問に睨まれる理由はない。

「じゃあ、何で気づかないの?」

「えっ?」

睨まれたと思ったら今度は呆れられた。

「ちょっと待って、意味がわかんない」

「それ……本気で言ってんの?」

次はイライラしたのか、
セットしてあった髪を乱暴に掻きむしる。


何で感情がコロコロかわるのか、
何でその感情が俺に向けられるのか、
さっぱり見当がつかない。


「おい、松潤」

その様子を見かねたのか、
翔ちゃんがポンと肩を叩いで宥める。

「翔くんも何で黙ってられんだよ!」

そのイライラが翔ちゃんにぶつけられた。

「俺、何かした?バカだからさ……
ハッキリ言ってくんないとわかんない」

「じゃあ、遠慮なく言うけど
ニノの様子おかしいの気づいてないでしょ?」

「えっ?」

松潤の言葉の意味がわかるけど、わかんない。


様子なんておかしくない。

俺が見ている中でニノは何も変わってない。


ってか、誰よりもニノを見てるんだから、
変化に気がづかないはずがない。


「かなり疲れてるし……
顔色もめちゃくちゃ悪い」

「疲れてるのは仕方ないでしょ?
俺が見てる限りは顔色なんて悪くない」

さも自分が一番わかっているという言い草に
ちょっとイラっとした。

「ホントに……見てるの?」

「見てるに決まってんだろ!」

楽屋に響く俺の怒鳴り声。

疑われる理由なんてないし、
自信があるからこそその言葉に腹が立った。

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