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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

そして今年、俺が紅白の司会に選ばれた。

その事を初めて伝えられた時、
一番に浮かんだのは相葉さんの顔だった。


司会に決まったと聞いたら……どう思う?


去年の自身の辛い経験を思い出して、
俺もそうなってしまうんじゃないかと
心配するに決まってる。


相葉さんは自分には厳しいけど、
周りの人には優しい。


だからこそ人の痛みや辛さを
自身の事の様に受け止めてしまう。

人に寄り添う上で、
とても大切なことかもしれないけど……


それが大切な人ほど、
本人以上に相葉さん自身も傷ついてしまう。


だから俺は決めたんだ。

決して弱さを見せないって……



だって俺は相葉さんの笑顔が一番好きだから。



自分のせいで相葉さんの笑顔を奪いたくない。


相葉さんが笑顔でいてくれるなら……

いくらでも我慢できる。

どんなことがあっても乗り切れる。


だから必死で演技した。

『俺は平気だよ』って……


相葉さんならきっと騙せるって思った。


俺の事を信じて疑わない
その心を俺は利用したんだ。

でもそれが通じだのは相葉さんの前だけで……

隠していたつもりだったけど、
他のメンバーにはバレバレだった。

それでも俺は平気だって言い続けた。


Jが心配しているのはわかったけど……


今の辛さに比べたら、
相葉さんにバレる事の方がよっぽど辛い。

だから俺は相葉さんの前で
演技をするのを止めなかった。


1番そばにいて欲しかったのに……

1番近くで笑顔を見たかったのに……


相葉さんといる事を極力避けた。


でもそれがJの怒りに拍車をかけて、
相葉さんが怒鳴られることになってしまった。

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