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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

でも今日は相葉さんの誕生日。


今だけは……考えなくてもいいよね?


俺は去年、この1日だけでも
『紅白』の事を忘れて欲しいって思った。

まさか今年は自分が
忘れたいって思うなんて想像もしてなかった。

「相葉さん」

「ん?」

相葉さんを見上げると、
目尻に皺を寄せて嬉しそうに俺を見つめる。

「誕生日、おめでとう」

グッと身体を伸ばして、
相葉さんの唇にキスを落とした。

ビックリして目を開けて受けとめてだけど、
すぐにさっきより深い皺が目尻に入った。

「ありがとう、ニノ」


ありがとうを言うのは俺の方だよ?


そばにいてくれてありがとう。

笑顔でいてくれてありがとう。


「ねぇ、相葉さん……」


言葉では伝えられないけど……

今日はちょっとだけ勇気出すから。



相葉さんがしたいと思ってるけど
俺の為を思って我慢している事……


代わりに言ってあげる。



「エッチ……しよ?」


「………はい?」

口を半開きにして
アイドルとは思えない間抜け面。


人が勇気を振り絞って言ったのに、
そのリアクションは何だよ!


もっと、喜ぶと思ったのに……


何か俺、盛ってるみたいじゃん!


赤かったであろう顔が
益々濃く染まっていくのが自分でもわかる。


「なっ、何でもない!」

相葉さんの腕から離れようと暴れるけど、
馬鹿力に抑えられて逃げられない。

「ちよっ、暴れんなって!」

「バカッ、離せ!この、あいバカ!」

「そのバカが好きなのは……誰?」

一層強く抱きしめられ耳元で呟いた言葉に
俺の動きはいとも簡単に止められた。

そして見上げた時、
俺が映る相葉さんの瞳は色気を漂わせていた。

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