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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

【2日前】

リハーサルが始まった。

今日から31日まで、
仕事は紅白歌合戦リハーサルと本番。


これが仕事納めってやつだ。


「次、松本さんリハーサルお願いします」


呼びに来てくれたスタッフの後ろでは、
大勢の人達がバタバタと行き交うのが見える。

でも出演するのは出場歌手だけじゃない。

各コーナーのゲスト、ダンサーや
演奏者も含めるととんでもない人数。

それに大勢のスタッフや事務所関係の人。


NHKホールには人が溢れかえっている。


「はい、お願いします」

松潤はパタンとパソコンを閉じると、
楽屋を出ていった。


そして何より大変なのは入念なリハーサル。


俺たちはニノが司会とあって、
コーナーに出演する回数も多い。

入れ替わりでメンバーがリハーサルに向かう。


カチャ…


「ただいまぁ」

リハーサルに行っていた
翔ちゃんが帰ってきた。

「ニノ、どうだった?」

「うん、大丈夫そう。
喋ったけど元気そうにしてたよ」

大丈夫だろうなって思ってたけど、
翔ちゃんの言葉にホッとした。

リハーサルでの変更点や、
追加事項も少なくはない。

コーナーだけならそこまで多くないが、
司会ともなれば数知れず。

ただでさえ分厚い台本に、
書ききれないくらいのメモが
足されていった。


結構、俺パニックだったからな……


ただ俺に比べてニノは要領もいいし、
落ち着いているからどんな状況にも
対処できると思う。



でもあのスタジオの状況や空気は辛い。



スタッフのただならぬ緊張感や
ピリピリした雰囲気。

そして多方面から聞こえる怒号。



本番までのプレッシャーを
これでもかって程に感じていた。

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