素晴らしき世界
第30章 僕らの48日間
「嵐です。よろしくお願いします」
翔ちゃんの挨拶の後、俺たちも頭を下げる。
もちろん俺はニノの前を陣取った。
「座って座って」
内村さんに促されて
俺たちはパイプ椅子に座る。
「じゃあ……
そちらから自己紹介お願いいします」
ニヤニヤしている顔は
きっと何かを企んでいる。
一番遠いところに座る
翔ちゃんを指名するあたりも怪しい。
確実に俺をイジるつもり。
「櫻井翔です」
「大野智です」
「松本潤です」
「相葉……」
「あなたは結構です」
「うぉい!」
ほら、やっぱり……
俺の目に映るニノは、
イタズラが成功して嬉しそうに笑ってる。
メンバーに会えてホッとした?
去年の俺もそうだった。
メンバーとの面談でいつものメンバーの
空気感に触れて自分を取り戻すことができた。
ニノが今みたいに俺をイジってきた。
あの時は『初めまして』って言われたかな?
内村さんや架純ちゃんにとっては
『なんだ』っていう時間だとは思うけど
ニノの為には必要な時間なんだ。
「おい、俺は紅白の司会の先輩だぞ!」
「えっ?あなた何回ですか?」
いつもの俺たちの掛け合いが始まる。
「俺、67回」
「私、68回……先輩っすね!」
「敬え、敬え」
「すみませーん」
俺たちのやり取りにメンバーだけでなく
内村さんや架純ちゃんも笑ってくれる。
「ほら、バカなやり取りはその辺にして……」
「「おいっ!」」
翔ちゃんの言葉に同時にツッコミを入れると
顔を見合わせ2人で笑った。
「じゃあ、早速……
今年の嵐さんの活動は?」
「「「「知ってるだろ!」」」」
俺の前にはいつものニノがいた。
そしてニノの前にはいつもの俺たちがいた。