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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

そこには去年と同様、袴姿のニノがいた。

「ぷはっ、七五三だね」

「いや、馬子にも衣装でしょ?」

翔ちゃんの言葉に松潤が被せてくる。

「袴……短くない?」

リーダーの言葉に目線は一斉に足元へ向く。

「大丈夫だっつーの」

勢いよく立ち上がると、
手を横に伸ばして袴姿を見せつける。


ちゃんと似合ってるから大丈夫だよ?


「まぁ、いつものだるんだるんな
服よりは……似合ってるよ」

「松潤のマフィアみたいな服や
翔くんの迷彩よりはマシです」

「バカにすんなよ、あれ高いんだから」

「迷彩くれるのはニノだろ」

「ねぇー、俺は?」

「興味ありません」

いつもの俺たちのやり取りを見つめる。


ニノがいつもより楽しそうで……

俺と同じように少しは、
緊張をほぐせたのかな。


一頻り笑いは合うと
翔ちゃんがスッと表情を変えた。

「頑張って、ニノ」

「頑張れ、ニノ」

少しきつめに背中を叩いた松潤。

「ニノ、ファイト」

グッと拳を顔の前で握りしめたリーダー。

「ありがとう」

ニノはニッコリと笑って、
みんなの言葉を受け取った。

「じゃあ、あとはよろしく」

「えっ?」

翔ちゃんが楽屋を出ていくと、
それについていくリーダーと松潤。

「楽屋の前で警備しときます」

「私もお供します」

松潤のノリにリーダーも応えながら、
2人も楽屋を出ていった。


去年は俺が袴姿でここにいて……

今年はニノがその姿でいる。


「ニノ」

「相葉さん」

俺たちはどちらともなく近づくと、
お互いをギュッと抱きしめた。


少し震える身体。


それを抑えるようにきつくきつく抱きしめた。

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