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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

インターフォンのモニターがパッと明るくなり
スマホを耳に当てるニノが映し出される。


えっ?えっ?

何でニノが家に来てんの?


「……ばさん、相葉さん!」

「はっ、はい!」

「ちょっと……いつまで待たせるんですか?
早く開けて下さい」

「えっ?」


ニノは知らないけど……

モニター越しに目と目が合う。


そこからなぜニノが家に来たのか、
理由を窺い知ることは出来ない。


ってか、出来るわけねぇ!

こんな唐突な行動は滅多にないから……


「風邪ひかす気ですか?
第68回紅白歌合戦優勝司会者を」

早速、付け加えられた輝かしい経歴を
持ち出す辺りがニノらしい。

「はいはい、わかりましたよ」

返事すると同時にボタンを押して
エントランスのオートロックを解除すると
ニノは開いた自動ドアの方へ消えていった。


何かあったのかなぁ?


でもモニター越しのニノの表情は
決して暗いものではなかった。

もしかして翔くんの様子が気になった?

でもそれなら、
電話で確認すれば済む話だし……

いくら考えたってニノが急に
家に来る理由は思い当たらない。


カチャ…


玄関から鍵の空く音が聞こえ、
ドアがしまる音と同時に近づく足音に
なぜかドキドキしてしまう。

「おっ、おう!ニノ」

俺は家にニノがいることが久しぶりすぎて
なぜか挙動不審になってしまう。

「ぷっ……なに、動揺してるんですか」

口角を上げてニヤリと笑う。

「べっ、別に動揺なんてしてねーし。
それより急に家に来て……どうした?」


ニノのことだ。

動揺する俺をいじり倒すに違いない。


だから俺は話題を早く切り替えようと、
気になっていた事を聞いた。

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