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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

いつもと違う景色を窓から眺める。

そしてその景色に薄っすら重なる
ニノの運転する姿。

直接見たくてチラッと目線をやると、
ハンドルをギュッと握りしめて前を見つめる。


ふふっ、可愛い。


集中してるから
妙に唇に力が入って尖らしてる。

「何ですか?」

信号で止まると同時に俺の方に顔を向けた。

「んー、別に?」

「あんまり見られると気が散ります」

「そう?俺は嬉しいんだけどな。
ニノがいつも見てくれてると……」

「はぁ?見てないんですけど」


若干、キレ気味に答えてるけど……


耳が真っ赤だよ?


「ほら、信号変わったよ?」

「わっ、わかってます!」

珍しく動揺しまくるニノを見ていたいけど、
事故ったら困るので再び外に目線を戻す。


再び動き出した車。

俺が運転している時は、
何だかんだで話をしている事が多い。


まぁ、俺が喋りたいだけなんだけど……


今は流れる景色を見つめながら、
車内に流れる曲に合わせて鼻歌を口ずさむ。

そして曲が変わっても、
俺の鼻歌は止まらない。

「ねぇ、ニノ」

「なんですか?」

「嵐の曲……多くない?」

「ランダムに流してるから
たまたまだと思いますけど」

「ふーん」

ニノの言う通り、
その後は嵐の曲じゃなかった。

俺たちの青春を思い出させる曲や、
全く知らない曲が流れる。


ニノの趣味は……イマイチわかんない。


でも、やっぱり嵐の曲は多かった。


俺もだけど……

ニノも嵐が好きだよな。


やっぱり曲には思い入れだったり、
コンサートの記憶がいっぱい詰まってる。

特にバラード系はグッとくるものがある。

空色も心情に合わせたかのように
青からオレンジに変化した。


夕焼けなんて久しぶりに見たな……


状況が色々と重なって、
すっかり感傷的な気分になる。

そして選曲したかのように、
嵐のある曲のイントロが流れた。

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