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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

流れてた景色はピタッと止まり、
去年の年末まで自分の家の様に
帰っていたニノの家に着いた。

「お邪魔しまーす」

当たり前だけど、変わらない部屋の雰囲気。


強いて言えば、散らばっていた
紅白の書類関係が無くなったくらい。



終わったんだな……本当に。



「なにボーっとしてんの?」

「あっ、ごめんごめん」

「お腹、空いてる?」

俺に尋ねながら冷蔵庫のドアを開ける。

「実は……腹ペコなんだよね」

今にも腹の虫が鳴りそうなお腹を擦った。


3時くらいに腹が空いたんだけど、
夕食を一緒に食べると思って我慢した。


「じゃあ、早いけど食べる?」

「賛成、どこに食べに行く?
あっ、でも……どこも混んでるか」


ちょうどおせちにも飽きるころで、
外食する人が多いはず。

予約しときゃ良かった。


「それは大丈夫」

冷蔵庫から取り出したタコを俺に見せた。

「ここで食べますから」

「たこ…焼き?」

「珍しく勘がいいですね」

「珍しくは余計だ」

「ほら、無駄口叩く前に用意しますよ」

「うわっ、投げんな!」

卵を投げてくるから慌ててキャッチする。

「指示、頼みますよ?店長」

ニヤリと俺に笑って見せる。

「ちゃんと作れよ、バイトくん。
あっ、京セラドームでもな」

俺も仕返しとばかりにニヤっと笑って見せた。

「わかり……あっ!」


どうやら気がついたみたい。

大阪公演でもたこ焼きを作る事を……


「ほら、準備するよ」

顔を真っ赤にさせるニノの髪を
クシャっと撫でた。


ニノなりに俺が楽しめるように
考えてくれたんだって思うと嬉しい。

同じたこ焼き作りでも全然違う。


「ちょっと何、仕切ってんですか!」

恥ずかしいのか当たりが強い。


それもまた……可愛いんだけどね?


勝手知ったるキッチンで
ニノと一緒にたこ焼きの準備を始めた。

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