テキストサイズ

素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「うん、全部そろったな」

テーブルに並んだたこ焼きの材料を見つめる。

「よーし、焼くぞ!」

腕まくりをして気合を入れる。

「落ち着いて下さい。
その前に……これでしょ?」

ニノが冷蔵庫からビールを取り出し、
ちらつかせながらこっちに来る。

「いいねぇ、ありがとう」

手を伸ばし受け取ると、
ニノはテーブルを挟んだ俺の前に座った。

「ちょっ、ちょっと待って!」

早速とばかりに、
プルタブに指をかけるニノを制止させた。

「何っすか?飲みたいんですけど……」

「まずは……乾杯からでしょ」

缶を持ってニノの前に差し出した。

「って、何に?」

そう言いながらもニノも缶を差し出した。



そんなの……決まってんじゃん。



「紅白、白組優勝おめでとう。
そして司会お疲れ様」

カウントダウン終了後の初詣で
メンバーと一緒に伝えたけど、
改めて労いの言葉をかけたかった。


やっと大きな重荷から解放されたんだから……


「今更ですよ」

素っ気ない態度で乾杯はまだかと
言わんばかりに缶をゆらゆらと揺らす。


そう言いながらも嬉しいんでしょ?

お酒はまだ飲んでないのに顔が赤い。


「そう?いいじゃん。
お祝いはいつしたってさ」

「ふっ、相葉さんらしいですね」

俺に押し切られたって雰囲気を出すニノ。


わかってはいるものの……

ホント素直じゃないんだよな。


「おめでとう、乾杯!」

「おめでとうって……ややこしいですね」

「えっ?なにが?」


普通に優勝おめでとうって意味なんだけど……


「まぁ、いいですよ。乾杯」

俺の疑問を撥ね退けるように缶をぶつけると
プルタブを上げゴクゴクとビールを飲む。

「ほら、早く焼いてください」

たこ焼きプレートに生地を流し込むニノ。

「ちょっとまだ俺、飲んでないっ!」

「知りませーん」

ビールをグイッと飲むと、
慌ててタコを入れていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ