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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「ふぅー、食った食った」

ソファーに座りポンポンと膨らんだ腹を叩く。

用意していた材料はほぼ、
俺とニノの胃袋に吸収されていった。

「もう……動けないっ!」

俺の隣にドンと腰を下ろすと
身体を投げ出した。


珍しくニノもたくさん食べたもんな……


「またポッコリお腹に逆戻りしたんじゃない?」

「止めろよっ!」

さわさわと撫でると、
くすぐったかったのか身を捩って逃げる。

「嫌だね。運動、運動」

「ばっ…やっ、止めろって!」

「痛ってぇぇぇぇ!」

リアクションが面白いから
ついつい調子に乗ってしまい頭を叩かれた。

「しつこいんだよ」

息を整えつつもジト目で俺を睨みつける。

「だってさ、暇なんだ……あっ!」

俺は近くに置いていた鞄に手を伸ばした。

「もういきなり何?一人で忙しい人ですね」

呆れ声のニノを無視して、
鞄の中から持ってきたものを取り出した。

「じゃじゃーん」

「……あなたの鞄は
ドラえもんのポケットですか?」

テーブルにはカルタと番犬ガオガオ。

「お正月と言えばカルタでしょ?」

「百歩譲ってカルタはわかるけど、
これは正月と関係ないでしょ」

「だってこれ面白いから」

早速、カードをきっていく。

「えっ?こっちから?」

「今はこっちの気分」

番犬ガオガオをニノと俺の間に置いた。

「意味がわかんない。
ってか、これ楽しいの?」

「もちろん。実家でやった時、
めちゃくちゃ盛り上がったんだから」

「それは相葉家だからでしょ?」

「あぁ、負けるからやりたくないんだ」

ニヤリと笑って挑発してみせた。

「違います!俺はゲームで負けませんから」

「よーし、勝負だ」

じゃんけんをして俺が先行になった。


よーし、やるぞ。



ガルルルルッ…


「「うわっ!」」

お酒が入ってるから
互いに繊細な操作が出来ず、
犬の吠える声と俺たちの驚く声が
繰り返し部屋に響いた。

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