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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「柿食えば……はいっ!」

俺はパーンと取り札に手を伸ばす。

「よっしゃー、またゲット」

取った札が重なって厚みが増す。

「ちょっと、探しながら読んでるでしょ!」

さっきから不平不満が止まらないニノ。

重なった取り札は俺より低い。


俺がゲームで勝てるなんて滅多にない。

まぁ、ちょっとズル?しちゃってるけどね?


「だって勝手に目が行っちゃうんだもん」

「それを何とかしなさいよ」


負けて拗ねているニノは
滅多に拝めるものじゃないからね。


「そもそも俺に
読めって言ったのはニノじゃん」

「じゃあ俺が……」

手を伸ばして俺の読み札を奪い取ろうとする。

「馬の耳に……」

「あっ、ズルい!」

「はいっ!」

必死に探そうとするニノを尻目に
また取り札をゲットする。

「あいバカのクセに……」

「バカって言うな!」

「ほら、早く次を読んで下さい」

ラグに散らばった取り札をジッと見つめる。


よし、次はこれだな。


読み札を目で読み、取り札の場所を確認。

「捕らぬ……」

「「はいっ!」」

俺の手よりニノの手の方が
先に取り札を捉えた。

「なっ、何で!」

「目を見ればわかりますよ」

勝ち誇ったようにニヤリと笑う。


今度は負けないぞ……


同じように取り札の場所を確認した。

「弱り目に……」

「はいっ…あっ!」


どうやら間違いに気がついたみたい。


「はーい!」

俺は余裕で正解の取り札をゲットした。


俺の目線でニノが狙いを
定めたのがわかったから、
わざと違う取り札に目線を向けた。

「騙したな」

「さぁ?何の事ですか?」

「もう……こうしてやる!」

手を伸ばして俺のゲットした取り札の束と
残っていたラグの取り札をごちゃ混ぜにする。

「おいっ、やめろやー」

「うるさーい!……「うわっ!」」

手を掴んで止めようとしたら、
勢いそのままにニノを押し倒してしまった。

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