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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「俺は何にもしませんよ」

「いいよ、別に。
俺は和がそばにいてくれたらいい」


だって俺は和が隣にいれば笑顔になれる。


「まぁ、俺にデメリットはないですね」

「でしょ?」


俺にだってデメリットはない。


もし笑顔が消えてしまったとしても、
誰よりも先に気がつく事ができるんだよ?


それって逆に言えば、
最速で笑顔を取り戻す事ができる。


和の笑顔、そしてニノの笑顔を
取り戻す事は苦労でも何でもない。



だってそれは俺の……恋人の特権だから。



「じゃあ、一緒に住むって事で」

「ちょっと、勝手に決めないで……」



本音はさ、『うん』って言って欲しいけど
天邪鬼な和にはそれは望めない。


でも俺はちゃんとわかってる。


和の天邪鬼が出る時って
自分の気持ちに素直になれないんじゃない。



相手の事を心配して
自分の本当の気持ちを隠してる。


俺はプレッシャーに弱いし、
すぐに顔に出ちゃう。

自分でいっぱいいっぱいになる事も多い。



だからこそ、
そんな俺の負担になりたくないんでしょ?



けど俺は良くも悪くもわかりやすい性格。

和だけじゃなくメンバーや
周りの人が俺に手を差し伸べてくれる。



和は我慢強いから表に出さないでしょ?


メンバーは長い付き合いで気がつくけど
甘える事ができないでしょ?


「いーや、決めた!一緒に住む」

俺は和を引き寄せギュッと抱きしめた。

「そこまで言うなら……仕方ないですね」


こういう時の和には強引が一番。

そして表情を見れないようにする。


こうすれば俺の強引な行動や言葉を言い訳に、
甘える事ができるでしょ?


でも、今日くらいは見せてよ?

素直な和の表情を……


「和」

両肩を掴んで距離を取ると、
下を向く和の顔を覗き込んだ。

「ふふっ、真っ赤」

「うっ、うる……」

文句を言われる前に、
掬い上げるように唇を重ねた。

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