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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間


「さて……色々と決まった事だし」

「うわっ」

ヒョイっと……

いや、身体全体にグッと力を込めて
和を抱え上げる。

「重たっ、マジ正月太りしてない?」

「あなたの力が落ちたんじゃない?」

ニヤリと笑いながら俺の首に腕を回す。

「じゃあ、運動して体力つけなきゃね。
ちゃんと和も最後まで付き合ってよ?」

満面の笑みで至近距離にある和の顔を見た。

「嫌です」

「嫌も嫌よも好きのうち……でしょ?」

「どこまでポジティブ思考なの!
ホント、無理だからね」

「ほらほら暴れない」

身を捩ってるけど、
首に回した手はさっきより力が籠ってる。


素直じゃないけど、それが和らしい。

そんな風に思える俺はきっと和にベタ惚れ。


だってある意味、俺に甘えてるだもん。

俺だったらわかるでしょ?って事だから……


「何笑ってんの。気持ちわるっ」

「そんな俺が好きなくせに」

耳元でわざとらしく呟くと、
一瞬で耳が赤くなる。

「気持ち悪いあなたを
好きになった覚えはありません!」


否定は否定だけど
俺を好きって事は否定しない。


珍しく素直じゃん。


「じゃあ、どんな俺が好きなの?」

寝室に移動しながら調子に乗って聞いてみた。


きっと悪態をつくんだろうな……


「わかんない」

「えっ?」

ベッドに下ろすと同時に、
予想だにしてない答えに拍子抜けした。

「んー、どこなんだろう?」

首に巻き付けたままの腕で俺を引き寄せる。

「じゃあ、雅紀は俺のどこが好きなの?」

サラッと名前を呼ぶことにドキッとしつつも、
和に投げかけられた質問の答えを考えた。


ジュニアとしてのニノ。

親友としてのニノ。

メンバーとしてのニノ。

そして恋人になった……和。


ずっと近くで色々な二宮和也を見てきた。



あっ、そっか……そういう事なんだ。



「俺も……わかんないわ」

「は?」


『好き』という感情は違えど、
どれが一番だなんて決められない。


全部、大好きだから……

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