素晴らしき世界
第6章 不思議な同居人
【二宮side】
大野さんが口いっぱいに頬張って
俺の作った料理を食べてくれる。
その姿が餌を頬張るリスみたいで可愛い。
「そんなに急いで食べなくても
誰も取りませんから」
大「だっで、お……ゴホッ、ゲホッ」
胸を手で叩く。
「お茶でも飲んで落ち着いてください」
差し出したお茶を大野さんは
グイッと飲み干した。
大「だって美味しいんだもん」
「ありがとうございます」
大野さんの笑顔に思わず釣られて
笑顔になってしまう。
一緒に暮らし始めて数日が経った。
俺の記憶は戻ることなく
日々を過ごしている。
記憶がないだけで生活に支障はない。
大野さんが色々調べてくれたが
俺が何者で何で死んだかは分からない。
分かったことは少なくとも事故で
死んだわけではないみたい。
大野さんが俺が現れた日の
新聞を虱潰しに読んで確認してくれた。
事故で亡くなった人はいたが
俺と同世代ではなかったみたい。
『二宮』という名前も
合っているか分からない。
でも、大野さんが呼んでくれると
そうじゃないかって納得しちゃう。
それに大野さんに『二宮さん』と
呼ばれると心地がいい。
本当に不思議な人……
大野さんと一緒に過ごして
笑ってくれたり喜んでくれると本当に嬉しい。
明日も大野さんの為に頑張ろうって思える。
日々の活力になっている。
死んでるんだけどね……
この部屋で大野さんの為に
何かしている時だけ辛いことを忘れられる。
少しは大野さんの
役に立っているかな?
「ごちそうさまでした」
大野さんがひとつ残らず
綺麗にご飯を食べてくれた。
食器を片付けようとするので
「僕がやりますから」
お皿を持とうとする大野さんの手に触れた。
触れた手に熱が一気に集まる気がした。
大「少しは休んで」
「幽霊だから疲れませんよ」
自分で言って悲しくなる。
現実を自分自身の言葉で突きつける。
大「そうだとしても、俺が休んでほしいの」
俺に微笑んで、片付けを始めた。
そんなに優しくしないで……
俺、大野さんのこと好きになっちゃう……
もう、手遅れかもしれない……
どんなに想っても叶わない恋……
でも、今だけはそばにいさせて……
大野さんの前から消えるまでは……
大野さんが口いっぱいに頬張って
俺の作った料理を食べてくれる。
その姿が餌を頬張るリスみたいで可愛い。
「そんなに急いで食べなくても
誰も取りませんから」
大「だっで、お……ゴホッ、ゲホッ」
胸を手で叩く。
「お茶でも飲んで落ち着いてください」
差し出したお茶を大野さんは
グイッと飲み干した。
大「だって美味しいんだもん」
「ありがとうございます」
大野さんの笑顔に思わず釣られて
笑顔になってしまう。
一緒に暮らし始めて数日が経った。
俺の記憶は戻ることなく
日々を過ごしている。
記憶がないだけで生活に支障はない。
大野さんが色々調べてくれたが
俺が何者で何で死んだかは分からない。
分かったことは少なくとも事故で
死んだわけではないみたい。
大野さんが俺が現れた日の
新聞を虱潰しに読んで確認してくれた。
事故で亡くなった人はいたが
俺と同世代ではなかったみたい。
『二宮』という名前も
合っているか分からない。
でも、大野さんが呼んでくれると
そうじゃないかって納得しちゃう。
それに大野さんに『二宮さん』と
呼ばれると心地がいい。
本当に不思議な人……
大野さんと一緒に過ごして
笑ってくれたり喜んでくれると本当に嬉しい。
明日も大野さんの為に頑張ろうって思える。
日々の活力になっている。
死んでるんだけどね……
この部屋で大野さんの為に
何かしている時だけ辛いことを忘れられる。
少しは大野さんの
役に立っているかな?
「ごちそうさまでした」
大野さんがひとつ残らず
綺麗にご飯を食べてくれた。
食器を片付けようとするので
「僕がやりますから」
お皿を持とうとする大野さんの手に触れた。
触れた手に熱が一気に集まる気がした。
大「少しは休んで」
「幽霊だから疲れませんよ」
自分で言って悲しくなる。
現実を自分自身の言葉で突きつける。
大「そうだとしても、俺が休んでほしいの」
俺に微笑んで、片付けを始めた。
そんなに優しくしないで……
俺、大野さんのこと好きになっちゃう……
もう、手遅れかもしれない……
どんなに想っても叶わない恋……
でも、今だけはそばにいさせて……
大野さんの前から消えるまでは……