素晴らしき世界
第6章 不思議な同居人
今日は土曜日で
大野さんの仕事はお休み。
『明日どこかに出掛ける?』
って聞かれたけど
『家でゆっくりしたいです』
と答えた。
外に出掛けるのも
デートみたいでいいなと思ったけど
やっぱり俺は幽霊で会話ひとつするにも
大野さんに気を使わせてしまう。
それならここで
『生きている人間』のように
大野さんと過ごしたいって思った。
なのでいつもより遅い目覚め。
寝室を扉を開けると
大野さんはまだ夢の中。
足音を立てないように近づく。
少年みたいな寝顔で可愛い……
ずっと眺めていたい……
ベッドに頬杖をついて眺めていたら
大野さんが目を覚ました。
「ごっ、ごめんなさい」
俺は慌てて座っていた床から立ち上がると、
腕を掴まれた。
「大野さん?」
大野さんは何も言わず
寂しげに俺を見ている。
「どうしました?たい……」
俺の腕を引っ張ったので
大野さんの上に倒れこんだ。
慌てて起き上がろうとしたら
ギュッと抱きしめられた。
胸の鼓動が心地い……
思わず大野さんの腰に
手を回そうとしたが止めた。
望んじゃいけないんだ……
起き上がろうとしたら
スルりと体勢を変えられた。
俺を見下ろす大野さんの澄んだ目から
ポロリと雫がこぼれ落ちた。
大「………いで」
「えっ?」
大「どこにも行かないで」
もう、我慢できない……
「どこにも行かない、
ずっとあなたの傍にいます」
出来もしない約束……
でも言わずにはいられなかった。
大野さんの首に手を回し抱き寄せる。
暫くすると俺の胸で
規則正しく身体が上下に動く。
俺は大野さんを
ベッドに寝かせ部屋を出た。
ソファーに座り
自分自身をギュッと抱きしめる。
まだ身体に残る大野さんの温もり。
きっと大野さんは寝ぼけてて
何も覚えてないだろう。
それでもいい……
いつ消えても後悔しない……
嫌だ……
消えたくない……
大野さんと一緒にいたい……
叶う事のない願いばかりが
膨らんでいく。
複雑な気持ちを抱えながら
朝食の準備をする。
包丁を握り、
食材を切る手元を見ていたら
俺の手が見えなくなった。
目を擦りもう一度確認したら
俺の手は見えていた。
でも、気のせいではない……
大野さんの前から
消える日が近づいてきた。
大野さんの仕事はお休み。
『明日どこかに出掛ける?』
って聞かれたけど
『家でゆっくりしたいです』
と答えた。
外に出掛けるのも
デートみたいでいいなと思ったけど
やっぱり俺は幽霊で会話ひとつするにも
大野さんに気を使わせてしまう。
それならここで
『生きている人間』のように
大野さんと過ごしたいって思った。
なのでいつもより遅い目覚め。
寝室を扉を開けると
大野さんはまだ夢の中。
足音を立てないように近づく。
少年みたいな寝顔で可愛い……
ずっと眺めていたい……
ベッドに頬杖をついて眺めていたら
大野さんが目を覚ました。
「ごっ、ごめんなさい」
俺は慌てて座っていた床から立ち上がると、
腕を掴まれた。
「大野さん?」
大野さんは何も言わず
寂しげに俺を見ている。
「どうしました?たい……」
俺の腕を引っ張ったので
大野さんの上に倒れこんだ。
慌てて起き上がろうとしたら
ギュッと抱きしめられた。
胸の鼓動が心地い……
思わず大野さんの腰に
手を回そうとしたが止めた。
望んじゃいけないんだ……
起き上がろうとしたら
スルりと体勢を変えられた。
俺を見下ろす大野さんの澄んだ目から
ポロリと雫がこぼれ落ちた。
大「………いで」
「えっ?」
大「どこにも行かないで」
もう、我慢できない……
「どこにも行かない、
ずっとあなたの傍にいます」
出来もしない約束……
でも言わずにはいられなかった。
大野さんの首に手を回し抱き寄せる。
暫くすると俺の胸で
規則正しく身体が上下に動く。
俺は大野さんを
ベッドに寝かせ部屋を出た。
ソファーに座り
自分自身をギュッと抱きしめる。
まだ身体に残る大野さんの温もり。
きっと大野さんは寝ぼけてて
何も覚えてないだろう。
それでもいい……
いつ消えても後悔しない……
嫌だ……
消えたくない……
大野さんと一緒にいたい……
叶う事のない願いばかりが
膨らんでいく。
複雑な気持ちを抱えながら
朝食の準備をする。
包丁を握り、
食材を切る手元を見ていたら
俺の手が見えなくなった。
目を擦りもう一度確認したら
俺の手は見えていた。
でも、気のせいではない……
大野さんの前から
消える日が近づいてきた。