素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
「うちも…なんか、噛み合わないんだよな。
聞きたくないこと、見たくない顔ばっかり…」
潤の口からポツリポツリと語られた事実。
上手くいってなかったんだという驚き。
それと同時に似たような状況だという安堵感。
だからこそ、もっと知りたくなった。
「見たくない顔?」
「俺を責めるような顔するときあるんだよ…」
思い浮かべたであろう顔を掻き消すように、
残っていた日本酒をグイッと飲み干した。
俺と……一緒だ。
「家に帰るのが怖い…」
その言葉に同意も否定もしない潤。
きっと潤も俺と同じなんだ。
どうしてこんな風になってしまったのか……
答えを見つけられないんだ。
「じゃあ…な」
「おう」
あれから俺たちは無言になり、
自然と解散する流れになった。
相変わらずの重い足取り。
後ろを振り返ると潤も同じだった。
きっとこの先も一緒。
今日も静かに家の鍵を開け、
息を殺しながら部屋へと歩いていく。
潤はパートナーと会話したんだろうか?
俺は……
「あっ…」
久しぶりに聞いた声は、
俺を見つけてビックリした声。
パートナーなのに驚くなんてあり得ないよな。
そして冷蔵庫から漏れる光から
これも久しぶりに見た雅紀の顔。
ちょっと……痩せた?
「あっ、あのさ……」
緊張でからっからになった喉をこじ開けて、
雅紀の背中に向かって声をかけた。
俺の言葉に寝室のドアの前で
ピタッと動きを止める雅紀。
「良かったら、今度の日曜日……出かけないか?」
どうしたらこの状況を打開できるのか……
とりあえず雅紀と話をしないと始まらない。
「はぁー」
でも聞こえてきたのは
『いいよ』でも『嫌』でもなく重い溜め息。
パタン…
そして閉まる寝室のドアの音。
息苦しくなる首を解放するために、
ネクタイを緩めた。
雅紀は俺にどうして欲しいんだ?
そして俺は……どうしたいんだ?
聞きたくないこと、見たくない顔ばっかり…」
潤の口からポツリポツリと語られた事実。
上手くいってなかったんだという驚き。
それと同時に似たような状況だという安堵感。
だからこそ、もっと知りたくなった。
「見たくない顔?」
「俺を責めるような顔するときあるんだよ…」
思い浮かべたであろう顔を掻き消すように、
残っていた日本酒をグイッと飲み干した。
俺と……一緒だ。
「家に帰るのが怖い…」
その言葉に同意も否定もしない潤。
きっと潤も俺と同じなんだ。
どうしてこんな風になってしまったのか……
答えを見つけられないんだ。
「じゃあ…な」
「おう」
あれから俺たちは無言になり、
自然と解散する流れになった。
相変わらずの重い足取り。
後ろを振り返ると潤も同じだった。
きっとこの先も一緒。
今日も静かに家の鍵を開け、
息を殺しながら部屋へと歩いていく。
潤はパートナーと会話したんだろうか?
俺は……
「あっ…」
久しぶりに聞いた声は、
俺を見つけてビックリした声。
パートナーなのに驚くなんてあり得ないよな。
そして冷蔵庫から漏れる光から
これも久しぶりに見た雅紀の顔。
ちょっと……痩せた?
「あっ、あのさ……」
緊張でからっからになった喉をこじ開けて、
雅紀の背中に向かって声をかけた。
俺の言葉に寝室のドアの前で
ピタッと動きを止める雅紀。
「良かったら、今度の日曜日……出かけないか?」
どうしたらこの状況を打開できるのか……
とりあえず雅紀と話をしないと始まらない。
「はぁー」
でも聞こえてきたのは
『いいよ』でも『嫌』でもなく重い溜め息。
パタン…
そして閉まる寝室のドアの音。
息苦しくなる首を解放するために、
ネクタイを緩めた。
雅紀は俺にどうして欲しいんだ?
そして俺は……どうしたいんだ?