素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
あれ?今の……
営業の帰り、ホームで電車を待っていると
降りてくる人混みの中に覚束ない足取りの人。
その横顔に見覚えがあった。
確か潤のパートナーの人……だよな?
あの時は『綺麗な人』って
当たり障りのない事を言ったけど、
どちらかと言えば可愛いタイプだよな。
そんな事を考えながら電車に乗り込んだけど、
項垂れてホームのベンチに座る姿が目に入る。
大丈夫か?
そう思ったら自然と脚が動いて電車から降りていた。
「あれ?この間の…」
近づいた人の気配に顔を上げた潤のパートナーの人も俺の事を覚えてたみたいで怪しむ様子はない。
「あれ?なんか顔色悪い…大丈夫?」
元々色白だったと思うけど……
今は血の気もなくどちらかといえば青ざめている。
「飲み物買ってきます」
背中を少し擦ると俺は近くにある自販機に走った。
「スポーツドリンク、飲めますか?」
力なく傾く様子を見て俺は隣に座ると、
肩を抱き寄せてペットボトルを口元へと持っていく。
ゴクリゴクリと喉に流れていく音が
何故か懐かしく思えた。
そのせいなのかペットボトルを傾けすぎて、
口の先からスポーツドリンクが溢れてしまう。
「あっ、垂れる…」
咄嗟に伸ばした手で濡れた箇所を拭うと
身体がピクっと驚くように震えた。
そして少し赤みが戻った表情を見て、
自分が無意識にしていた行動に気がつく。
「ごめっ!いきなり…」
慌てて伸ばしていた手を引っ込めた。
「いえ…ありがと…ございます…」
ぎこちないお礼の言葉。
俺も恥ずかしかったけど、
同じように恥ずかしかったのか
さっと目を逸らされる。
「いえ、こちらこそ。何がだ?!
あ、もっと、飲む?」
この状況にフォローできる言葉は見つからず、
ただただ慌てる事しかできない。
「ウフフフ…」
そんな俺を見て笑う姿にまた懐かしさを感じ、
いつの間にか一緒に笑っていた。
営業の帰り、ホームで電車を待っていると
降りてくる人混みの中に覚束ない足取りの人。
その横顔に見覚えがあった。
確か潤のパートナーの人……だよな?
あの時は『綺麗な人』って
当たり障りのない事を言ったけど、
どちらかと言えば可愛いタイプだよな。
そんな事を考えながら電車に乗り込んだけど、
項垂れてホームのベンチに座る姿が目に入る。
大丈夫か?
そう思ったら自然と脚が動いて電車から降りていた。
「あれ?この間の…」
近づいた人の気配に顔を上げた潤のパートナーの人も俺の事を覚えてたみたいで怪しむ様子はない。
「あれ?なんか顔色悪い…大丈夫?」
元々色白だったと思うけど……
今は血の気もなくどちらかといえば青ざめている。
「飲み物買ってきます」
背中を少し擦ると俺は近くにある自販機に走った。
「スポーツドリンク、飲めますか?」
力なく傾く様子を見て俺は隣に座ると、
肩を抱き寄せてペットボトルを口元へと持っていく。
ゴクリゴクリと喉に流れていく音が
何故か懐かしく思えた。
そのせいなのかペットボトルを傾けすぎて、
口の先からスポーツドリンクが溢れてしまう。
「あっ、垂れる…」
咄嗟に伸ばした手で濡れた箇所を拭うと
身体がピクっと驚くように震えた。
そして少し赤みが戻った表情を見て、
自分が無意識にしていた行動に気がつく。
「ごめっ!いきなり…」
慌てて伸ばしていた手を引っ込めた。
「いえ…ありがと…ございます…」
ぎこちないお礼の言葉。
俺も恥ずかしかったけど、
同じように恥ずかしかったのか
さっと目を逸らされる。
「いえ、こちらこそ。何がだ?!
あ、もっと、飲む?」
この状況にフォローできる言葉は見つからず、
ただただ慌てる事しかできない。
「ウフフフ…」
そんな俺を見て笑う姿にまた懐かしさを感じ、
いつの間にか一緒に笑っていた。