素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
「いらっしゃいませ。
今日はどのようなご用件で?」
店に入ると受付の人が俺に声をかける。
「家を探しに……」
「あっ、マイホームですか?」
「いえ……」
パッと表情が明るくなったのは……
上客が来た事への笑顔なのか、
それとも家族の幸せに対しての笑顔なのか。
でもその笑顔は俺の苦笑いと返事で
ぎこちなく消えていく。
「こちらにお掛けになってお待ちください」
部屋を探すなんて、
雅紀と新居を探した以来。
今度はまさか
雅紀と別居するためだなんてな。
あの日以来……
最後の優しさ、そして唯一雅紀との繋りだった
ソファーに置かれた着替えとタオル。
それが無くなった。
なぜ?どうして?
それすらも聞くことが出来ない。
そして俺は……家に帰る理由を失った。
「お待たせ致しました…って!え?櫻井さん?」
目をパチパチさせて驚く見覚えのある人。
「えぇ!松本の?ここなんだ?そうなんだー!」
たまたま入ったところは
潤のパートナが働いている会社だった。
「じゃぁ。
こちら書いてもらってもいいですか?」
アンケート用紙の空欄を埋めていく。
そして家族構成の箇所に
1と迷うことなく記入した。
「一人…」
ポツリと呟かれた言葉に
スッと顔をあげると目を泳がせる。
俺、どんな顔してるんだろう……
「あ、いえ…。あっ!
この間は本当にありがとうございました」
「いえ…当然なことをしただけです。
帰ってからは大丈夫でした?
松本いるから、安心か」
俺、何て酷いことしてるんだろう。
上手くいってないのを知ってるくせに……
「そ…う、ですね…」
嘘が隠しきれない返事。
「なんでこんなことになったんだろ…」
俺の心の声が聞こえた気がした。
遠くを見つめる寂しいそうな目には
一体何が映ってるんだろうか。
でもきっと俺と同じように、
なぜパートナーとスレ違ったのか……
その瞬間は未だに映し出されていないんだ。
今日はどのようなご用件で?」
店に入ると受付の人が俺に声をかける。
「家を探しに……」
「あっ、マイホームですか?」
「いえ……」
パッと表情が明るくなったのは……
上客が来た事への笑顔なのか、
それとも家族の幸せに対しての笑顔なのか。
でもその笑顔は俺の苦笑いと返事で
ぎこちなく消えていく。
「こちらにお掛けになってお待ちください」
部屋を探すなんて、
雅紀と新居を探した以来。
今度はまさか
雅紀と別居するためだなんてな。
あの日以来……
最後の優しさ、そして唯一雅紀との繋りだった
ソファーに置かれた着替えとタオル。
それが無くなった。
なぜ?どうして?
それすらも聞くことが出来ない。
そして俺は……家に帰る理由を失った。
「お待たせ致しました…って!え?櫻井さん?」
目をパチパチさせて驚く見覚えのある人。
「えぇ!松本の?ここなんだ?そうなんだー!」
たまたま入ったところは
潤のパートナが働いている会社だった。
「じゃぁ。
こちら書いてもらってもいいですか?」
アンケート用紙の空欄を埋めていく。
そして家族構成の箇所に
1と迷うことなく記入した。
「一人…」
ポツリと呟かれた言葉に
スッと顔をあげると目を泳がせる。
俺、どんな顔してるんだろう……
「あ、いえ…。あっ!
この間は本当にありがとうございました」
「いえ…当然なことをしただけです。
帰ってからは大丈夫でした?
松本いるから、安心か」
俺、何て酷いことしてるんだろう。
上手くいってないのを知ってるくせに……
「そ…う、ですね…」
嘘が隠しきれない返事。
「なんでこんなことになったんだろ…」
俺の心の声が聞こえた気がした。
遠くを見つめる寂しいそうな目には
一体何が映ってるんだろうか。
でもきっと俺と同じように、
なぜパートナーとスレ違ったのか……
その瞬間は未だに映し出されていないんだ。