素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
「あ、いえ、すいません…なんか…」
申し訳なさそうに謝るけど、
俺にとっては漏れる本音に救われている。
それは吐き出す事の出来なかった、俺自身の本音。
そしてその本音の中には、
誰かに自分の気持ちを知ってもらいたい。
そんな思いが詰まっている気がした。
「あの…実は…別居を考えてまして…」
『1』と記入した時点でその事実はわかっているが、
あえて口に出して伝えた。
俺もその先を聞いてほしいから。
「え?別居…ですか…どうして…」
でも慌てて口を押えてその先の言葉を止めた。
「会社から近いとか、駅から近いとか、
もっと具体的に希望はありませんか?」
それ以上深入りしない様に、
仕事モードに切り替える。
「今日って物件見に行ったり出来ますか?」
でも少しでも距離を近づけたいって思った。
それが今のお客様という立場であっても……
「あ、はい、もちろんです。
お仕事大丈夫なんですか?」
「たいぶ、落ち着きました。
それに、俺がいなくて潤がいるんで」
最低だけど……
また試すように潤の名前を出して心を揺さぶる。
「そう…ですか…じゃぁ、いくつか
ピックアップしてみますね。
ちょっとお待ちください。」
俺の言葉に逃げるようにスッと席を立った。
ごめんね。
でも今の俺にはあなたが必要だから……
そして暫くすると何もなかったように
俺の条件にあった物件を紹介してくれた。
その中のいくつかをピックアップして、
早速物件を見て回る事になった。
「櫻井さん!」
店の前の道路で車を待ってくると
慌てて駆け寄ってくる。
どうやら車が出払っていたみたい。
「すいません…確認不足で…」
いつもならきっとこんなミスはしないと思う。
今日は……仕方ないよ。
「ふふっ、そんなに謝らなくてもいいから」
なぜだろう?
身体を折り曲げて必死に謝る姿に
自然と笑みが溢れた。
申し訳なさそうに謝るけど、
俺にとっては漏れる本音に救われている。
それは吐き出す事の出来なかった、俺自身の本音。
そしてその本音の中には、
誰かに自分の気持ちを知ってもらいたい。
そんな思いが詰まっている気がした。
「あの…実は…別居を考えてまして…」
『1』と記入した時点でその事実はわかっているが、
あえて口に出して伝えた。
俺もその先を聞いてほしいから。
「え?別居…ですか…どうして…」
でも慌てて口を押えてその先の言葉を止めた。
「会社から近いとか、駅から近いとか、
もっと具体的に希望はありませんか?」
それ以上深入りしない様に、
仕事モードに切り替える。
「今日って物件見に行ったり出来ますか?」
でも少しでも距離を近づけたいって思った。
それが今のお客様という立場であっても……
「あ、はい、もちろんです。
お仕事大丈夫なんですか?」
「たいぶ、落ち着きました。
それに、俺がいなくて潤がいるんで」
最低だけど……
また試すように潤の名前を出して心を揺さぶる。
「そう…ですか…じゃぁ、いくつか
ピックアップしてみますね。
ちょっとお待ちください。」
俺の言葉に逃げるようにスッと席を立った。
ごめんね。
でも今の俺にはあなたが必要だから……
そして暫くすると何もなかったように
俺の条件にあった物件を紹介してくれた。
その中のいくつかをピックアップして、
早速物件を見て回る事になった。
「櫻井さん!」
店の前の道路で車を待ってくると
慌てて駆け寄ってくる。
どうやら車が出払っていたみたい。
「すいません…確認不足で…」
いつもならきっとこんなミスはしないと思う。
今日は……仕方ないよ。
「ふふっ、そんなに謝らなくてもいいから」
なぜだろう?
身体を折り曲げて必死に謝る姿に
自然と笑みが溢れた。