素晴らしき世界
第6章 不思議な同居人
【大野side】
二宮さんの夢を見た。
まるで現実みたいな夢だった。
目の前にいる二宮さんが一瞬……消えた。
夢の中の二宮さんを
思わず抱きしめてしまった。
捕まえていないと、いなくなると思った。
そして、伝えずにはいられなかった。
『どこにも行かないで』
ずっと我慢してた……
叶えられない願いを
口にしたくはなかった。
「どこにも行かない、
ずっとあなたの傍にいます」
二宮さんから発せられた言葉。
二宮さんが俺に向けた笑顔。
それがたとえ嘘だとしても……
俺はベッドから起き上がり、
リビングに向かう。
二「あっ、おはようございます。
よく眠れましたか?」
「うん、二宮さんは?」
二「お陰さまでゆっくり休めましたよ。
さっ、顔洗ってご飯食べてください」
「ありがとう」
俺は洗面所で顔を洗い、
戻ってきたら二宮さんの姿がない。
「二宮さん?」
ニノ「はい、どうしました?」
声は聞こえるのに、見えない。
周りを見渡してもいない……
ニ「大野さん、落ち着いて。
目を閉じてください」
俺の焦りとは正反対の二宮さんの冷静な声。
ゆっくりと目を閉じる。
「目を開けてください」
恐る恐る瞼を上げると
目の前には二宮さんがいた。
二「ちゃんと今はいますから、
大丈夫ですよ」
微笑む顔に寂しさが見えた。
「二宮さん、もしか……」
二「早くご飯食べてください、
せっかくの料理が冷めちゃいますよ」
俺の言葉を遮られた。
きっと二宮さんも気づいているんだ。
一緒に過ごせる時間が残り少ないことを……
ご飯を食べ終わり、
二宮さんが食器を片付けてくれている間、
俺はスマホで調べものをした。
必要なものをメモし、台所に目をやると
二宮さんはさっきと同じ場所にいた。
良かった、消えていない……
すると洗い物を終えた二宮さんが
こっちに近づいてきた。
二「あの……買い物に行きませんか?
食材がなくなっちゃって」
「いいよ、行こう。
俺も買いたいものがあったから」
俺たちは着替えて買い物に向かう。
外では喋ることが出来ないが、
二宮さんとの距離は近い。
心なしか二宮さんも嬉しそうに見える。
でも、これが一緒に出掛ける最後の外出。
手を繋ぎたい気持ちを必死に堪えて
スマホに文字を入力した。
二宮さんの夢を見た。
まるで現実みたいな夢だった。
目の前にいる二宮さんが一瞬……消えた。
夢の中の二宮さんを
思わず抱きしめてしまった。
捕まえていないと、いなくなると思った。
そして、伝えずにはいられなかった。
『どこにも行かないで』
ずっと我慢してた……
叶えられない願いを
口にしたくはなかった。
「どこにも行かない、
ずっとあなたの傍にいます」
二宮さんから発せられた言葉。
二宮さんが俺に向けた笑顔。
それがたとえ嘘だとしても……
俺はベッドから起き上がり、
リビングに向かう。
二「あっ、おはようございます。
よく眠れましたか?」
「うん、二宮さんは?」
二「お陰さまでゆっくり休めましたよ。
さっ、顔洗ってご飯食べてください」
「ありがとう」
俺は洗面所で顔を洗い、
戻ってきたら二宮さんの姿がない。
「二宮さん?」
ニノ「はい、どうしました?」
声は聞こえるのに、見えない。
周りを見渡してもいない……
ニ「大野さん、落ち着いて。
目を閉じてください」
俺の焦りとは正反対の二宮さんの冷静な声。
ゆっくりと目を閉じる。
「目を開けてください」
恐る恐る瞼を上げると
目の前には二宮さんがいた。
二「ちゃんと今はいますから、
大丈夫ですよ」
微笑む顔に寂しさが見えた。
「二宮さん、もしか……」
二「早くご飯食べてください、
せっかくの料理が冷めちゃいますよ」
俺の言葉を遮られた。
きっと二宮さんも気づいているんだ。
一緒に過ごせる時間が残り少ないことを……
ご飯を食べ終わり、
二宮さんが食器を片付けてくれている間、
俺はスマホで調べものをした。
必要なものをメモし、台所に目をやると
二宮さんはさっきと同じ場所にいた。
良かった、消えていない……
すると洗い物を終えた二宮さんが
こっちに近づいてきた。
二「あの……買い物に行きませんか?
食材がなくなっちゃって」
「いいよ、行こう。
俺も買いたいものがあったから」
俺たちは着替えて買い物に向かう。
外では喋ることが出来ないが、
二宮さんとの距離は近い。
心なしか二宮さんも嬉しそうに見える。
でも、これが一緒に出掛ける最後の外出。
手を繋ぎたい気持ちを必死に堪えて
スマホに文字を入力した。