
素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
「ごゆっくりどうぞ」
注文していたケーキと飲み物が届いた。
「うわぁ、美味そう。
ケーキ頼んで正解だったよ」
目の前にはイチゴのショートケーキ。
「なら、よかった」
クスッと笑った後にカフェラテを飲む姿は、
まさに出来る男って感じで絵になるだよね。
「うーん、ちょうどいい甘さ」
大野さんと色々と食べ歩きしたけど
今日のイチゴショートが一番美味しい気がする。
やっぱり誰と食べるかって重要なのかな?
「よくケーキ食べるの?」
「うん、休みの日とかに食べ歩きとかしてる」
「それって……誰と?」
少しだけトーンの下がった声に、
ケーキから視線を翔に移すとパッと目が合う。
その瞳は少しだけ揺れながらも、
俺の返事をまっていた。
「さっき一緒にいた大野さんとだよ」
普通に答えたけど、
これが正解なのかわからない。
友達でいる時も、恋人でいる時も、
結婚してからも俺が誰と過ごしたかなんて
聞かれたことは無かった。
俺は聞きたかったけど聞けなかった。
「もしかして……付き合ってるの?」
「えっ?」
「雅紀の事よく知っているみたいだったし、
そうなのかなって……さ」
スッと視線を俺からカフェラテに移すと
カップに手を伸ばしてゆっくりと口に運ぶ姿。
ねぇ……翔は今、何を考えてるの?
どうしてそんな事を気にするの?
そして翔が聞いてきた事なのに、
答えを聞くことを拒んでいるようにも見える。
コロコロと変わっていく翔の姿や言動に
勝手に期待ばかりが膨らんでいく。
俺を追いかけてくれた事。
俺の好みを覚えてくれた事。
俺の今の状況を気にする事。
その意味を……理由を俺は知りたい。
もしその答えが俺の答えと合っていたら
翔はきっと笑ってくれるよね?
「仲良くさせてもらってるけど……付き合ってない」
「そう……そっか」
俺が望んでた笑顔ではなかったけど……
俺は知ってるよ?
喜びを隠そうとする時、
そうやって口元を手で隠す事を。
注文していたケーキと飲み物が届いた。
「うわぁ、美味そう。
ケーキ頼んで正解だったよ」
目の前にはイチゴのショートケーキ。
「なら、よかった」
クスッと笑った後にカフェラテを飲む姿は、
まさに出来る男って感じで絵になるだよね。
「うーん、ちょうどいい甘さ」
大野さんと色々と食べ歩きしたけど
今日のイチゴショートが一番美味しい気がする。
やっぱり誰と食べるかって重要なのかな?
「よくケーキ食べるの?」
「うん、休みの日とかに食べ歩きとかしてる」
「それって……誰と?」
少しだけトーンの下がった声に、
ケーキから視線を翔に移すとパッと目が合う。
その瞳は少しだけ揺れながらも、
俺の返事をまっていた。
「さっき一緒にいた大野さんとだよ」
普通に答えたけど、
これが正解なのかわからない。
友達でいる時も、恋人でいる時も、
結婚してからも俺が誰と過ごしたかなんて
聞かれたことは無かった。
俺は聞きたかったけど聞けなかった。
「もしかして……付き合ってるの?」
「えっ?」
「雅紀の事よく知っているみたいだったし、
そうなのかなって……さ」
スッと視線を俺からカフェラテに移すと
カップに手を伸ばしてゆっくりと口に運ぶ姿。
ねぇ……翔は今、何を考えてるの?
どうしてそんな事を気にするの?
そして翔が聞いてきた事なのに、
答えを聞くことを拒んでいるようにも見える。
コロコロと変わっていく翔の姿や言動に
勝手に期待ばかりが膨らんでいく。
俺を追いかけてくれた事。
俺の好みを覚えてくれた事。
俺の今の状況を気にする事。
その意味を……理由を俺は知りたい。
もしその答えが俺の答えと合っていたら
翔はきっと笑ってくれるよね?
「仲良くさせてもらってるけど……付き合ってない」
「そう……そっか」
俺が望んでた笑顔ではなかったけど……
俺は知ってるよ?
喜びを隠そうとする時、
そうやって口元を手で隠す事を。
