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素晴らしき世界

第37章 キミのとなり

「ふふっ……」

「な…なに、笑ってんだよ」

ニノが肩を震わせて笑い始めたから、
俺は慌てて離れる。

「だって……
離れるタイミング見失ってたでしょ?」

「そっ、そんな事ねーよ」


ニノが笑ってリアクションしたから、
自然に離れる事ができた……はずだった。


「誤魔化すの下手すぎ」

見透かすような瞳に動揺を隠すのは不可能。


ほんと、ニノは勘がいい。


「う、うるせー!」

クスクス笑う余裕たっぷりのニノに、
だだ吠えるしか出来なかった。

「まぁ、それはいいとして……
何で俺にキスしたの?」

「ふえっ?」


一難去ってまた一難……とでも言うのだろうか?


「えっと、それは…うん、あの……」

ジッと俺の言葉を待つニノに、
『直感』と言える勇気は持ち合わせていない。

そしてそれを誤魔化す言葉も持ち合わせていない。

「ぷっ、焦り過ぎだから」

必死に理由を考えている俺を心底面白がっている。


ってか、ニノも同じ状況じゃん。


急にきっ、キスしたのに……

なのにどうしてそんなに普通なんだよ!


「ちゃーんと、
無い頭をフル回転させて教えて下さいよ?」

ツーンとオデコを指で押された。

「なんだよ、偉そうに……
ニノは理由がわかるっていうのかよ!」

「もちろん、わかてますよ?
相葉さんと違って、優秀ですから」

今度は自分のこめかみ辺りを指でツンツンとした。

「じゃあ、教えろよ!」

「やーだね。自分で考えないと、
ここの細胞が死んじゃいますよ?」

乱暴に俺の髪をクシャクシャとしてきた。

「止めろやー」

「ふふっ、じゃあね……鳥頭さん」

部屋へ帰ろうとするニノに手を俺はまた掴んだ。

「いや、えっ、あっ…ごめん!」

また直感で掴んだので俺は慌てて離した。

「おやすみ、相葉さん」

手をグイッと引っ張られ前屈みになった俺に、
チュッと今度はニノがキスをした。

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