素晴らしき世界
第38章 ニノちゃんの鬼退治
「おかえりー」
そう言って俺をギュッと抱きしめ、
出迎えてくれた恋人……雅紀。
「何してるんですか……」
「もー、見てわかんない?」
身体を離すと、
再び鬼の面を顔に被せる。
「今日は節分だから、豆まきだー」
そして俺に再び、豆をぶつける。
「豆をぶつけるって事は、
俺は……鬼なんですね?」
「えっ?」
本当に純粋だから、俺の言葉を
すぐ鵜呑みにしちゃうんだよね……
その証拠に動揺してか
開いている穴から見える瞳は、
落ち着きなく揺れる。
だから、もっと揶揄いたくなる。
「さっきも『鬼は外』って
ぶつけてきましたよね?」
「それは……」
バッとお面を外して俺の肩を掴む。
「俺、出ていった方が……いいの?」
少し目を潤ませて雅紀を見つめる。
さすがの演技……
第39回日本アカデミー賞
最優秀主演男優賞の二宮和也です。
「違うよ、違う!
一緒に豆まきしたかっただけ!
出ていくなんて言わないで!」
こちらは自然に目を潤ませ、
顔の前で手を合わせ必死に謝っている。
やっぱり天然には勝てないな……
「ふふっ……」
我慢していた笑いが込み上げてきた。
「かっ、か……ず?」
キョトンとした顔で俺を見つめる。
「怒ってないから大丈夫」
ニコッと雅紀を見て笑った。
「かーずー!」
声は怒鳴ってるけど、
顔は嬉しそうに笑ってるよ?
「そもそも鬼の面被って
『鬼は外』っておかしいでしょ?
鬼が鬼退治してどうするのよ……」
「あっ、そっか……」
鬼の面を外して見つめる。
やっぱり気づいてなかったのね?
俺は靴を脱いでリビングへと向かうと
愛しの炬燵が俺を出迎える。
「かずー」
あと一歩のところでバタバタと
雅紀が走ってくる。
「なによー」
「はい、これっ!」
振り返ると俺に鬼の面を渡す。
「へっ?」
「かずが鬼ね。騙したんだから……
嫌とは言わせないよ?」
俺に脅しをかけるとは……
でも、これに……勝てるかな?
俺は勢いよく抱きつくと、
上目使いで雅紀を見つめる。
「俺、温まりたい」
雅紀がパチパチと瞬きをして驚いている。
あれっ?
予想してた反応と違う。
「わかった」
「えっ?ちょっ……待って!」
俺は担ぎ上げられ、
炬燵ではなく寝室に入った。
そう言って俺をギュッと抱きしめ、
出迎えてくれた恋人……雅紀。
「何してるんですか……」
「もー、見てわかんない?」
身体を離すと、
再び鬼の面を顔に被せる。
「今日は節分だから、豆まきだー」
そして俺に再び、豆をぶつける。
「豆をぶつけるって事は、
俺は……鬼なんですね?」
「えっ?」
本当に純粋だから、俺の言葉を
すぐ鵜呑みにしちゃうんだよね……
その証拠に動揺してか
開いている穴から見える瞳は、
落ち着きなく揺れる。
だから、もっと揶揄いたくなる。
「さっきも『鬼は外』って
ぶつけてきましたよね?」
「それは……」
バッとお面を外して俺の肩を掴む。
「俺、出ていった方が……いいの?」
少し目を潤ませて雅紀を見つめる。
さすがの演技……
第39回日本アカデミー賞
最優秀主演男優賞の二宮和也です。
「違うよ、違う!
一緒に豆まきしたかっただけ!
出ていくなんて言わないで!」
こちらは自然に目を潤ませ、
顔の前で手を合わせ必死に謝っている。
やっぱり天然には勝てないな……
「ふふっ……」
我慢していた笑いが込み上げてきた。
「かっ、か……ず?」
キョトンとした顔で俺を見つめる。
「怒ってないから大丈夫」
ニコッと雅紀を見て笑った。
「かーずー!」
声は怒鳴ってるけど、
顔は嬉しそうに笑ってるよ?
「そもそも鬼の面被って
『鬼は外』っておかしいでしょ?
鬼が鬼退治してどうするのよ……」
「あっ、そっか……」
鬼の面を外して見つめる。
やっぱり気づいてなかったのね?
俺は靴を脱いでリビングへと向かうと
愛しの炬燵が俺を出迎える。
「かずー」
あと一歩のところでバタバタと
雅紀が走ってくる。
「なによー」
「はい、これっ!」
振り返ると俺に鬼の面を渡す。
「へっ?」
「かずが鬼ね。騙したんだから……
嫌とは言わせないよ?」
俺に脅しをかけるとは……
でも、これに……勝てるかな?
俺は勢いよく抱きつくと、
上目使いで雅紀を見つめる。
「俺、温まりたい」
雅紀がパチパチと瞬きをして驚いている。
あれっ?
予想してた反応と違う。
「わかった」
「えっ?ちょっ……待って!」
俺は担ぎ上げられ、
炬燵ではなく寝室に入った。