素晴らしき世界
第38章 ニノちゃんの鬼退治
「ただい…ま」
ドアを開けても家の中は真っ暗。
「かずー、いな……うわっ!」
玄関の電気をつけると、
仁王立ちで和がお出迎え。
「おかえり」
可愛らしい笑顔と声じゃなく、
抑揚もなく低い声。
俺の方が背が高いのに
見下ろされている気分になる。
「ねぇ……今、何時?」
ポケットからスマホを取り出し、時刻を確認。
「22……時です」
「ふぅーん、
22時は潤にとっては19時なの?」
細めで俺を見つめる和。
「22時は……22時です」
「ですよね?
俺さ……ずっと待ってたの。19時から!」
語尾をやたらと強調した。
「ホントにごめんっ!」
目を瞑り、
パチンと手を顔の前で合わせて謝った。
でも聞こえたのは『いいよ』じゃなくて、
遠ざかっていく足音。
目を開けると和の姿はなかった。
「和…っ、うわっ!」
急いで靴を脱ごうとしたら、
オシャレ重視だから脱ぎにくく
バランスを崩して倒れた。
「痛ってぇ」
ぶつけた膝を擦っていると視線を感じた。
チラッと見ると、
和が顔だけを覗かせていた。
「和……」
「バカじゃないの」
冷たい言葉と共に顔を引っ込ませてしまった。
完全にご立腹だな……
和の猫背がうつったように、
トボトボと俯き加減に廊下を歩き
リビングのソファーに深く腰かけた。
コトン…
テーブルに何か置かれた音と、
ソファーが沈む感覚。
横を見るといつもの笑顔の和がいた。
「途中だったんでしょ?」
そして俺の前に置かれた冷えた缶ビール。
「旬から連絡あってね。
俺が無理やり誘ったって……」
グイッとビールを煽る和。
「ごめんな、和」
「いいよ」
「ありがと……冷てっ」
嬉しくて和に抱きつこうとしたら、
缶ビールを頬に押し付けられる。
「でも約束を忘れてた件は
俺……許してないからね?」
頬をぷぅっと膨らませて……
ウルウルな目で睨んで……
怒ってるつもりなんだろうか?
「じゃあ機嫌……直してもらわないとね?」
缶ビールを持った手をグッと引っ張った。
ドアを開けても家の中は真っ暗。
「かずー、いな……うわっ!」
玄関の電気をつけると、
仁王立ちで和がお出迎え。
「おかえり」
可愛らしい笑顔と声じゃなく、
抑揚もなく低い声。
俺の方が背が高いのに
見下ろされている気分になる。
「ねぇ……今、何時?」
ポケットからスマホを取り出し、時刻を確認。
「22……時です」
「ふぅーん、
22時は潤にとっては19時なの?」
細めで俺を見つめる和。
「22時は……22時です」
「ですよね?
俺さ……ずっと待ってたの。19時から!」
語尾をやたらと強調した。
「ホントにごめんっ!」
目を瞑り、
パチンと手を顔の前で合わせて謝った。
でも聞こえたのは『いいよ』じゃなくて、
遠ざかっていく足音。
目を開けると和の姿はなかった。
「和…っ、うわっ!」
急いで靴を脱ごうとしたら、
オシャレ重視だから脱ぎにくく
バランスを崩して倒れた。
「痛ってぇ」
ぶつけた膝を擦っていると視線を感じた。
チラッと見ると、
和が顔だけを覗かせていた。
「和……」
「バカじゃないの」
冷たい言葉と共に顔を引っ込ませてしまった。
完全にご立腹だな……
和の猫背がうつったように、
トボトボと俯き加減に廊下を歩き
リビングのソファーに深く腰かけた。
コトン…
テーブルに何か置かれた音と、
ソファーが沈む感覚。
横を見るといつもの笑顔の和がいた。
「途中だったんでしょ?」
そして俺の前に置かれた冷えた缶ビール。
「旬から連絡あってね。
俺が無理やり誘ったって……」
グイッとビールを煽る和。
「ごめんな、和」
「いいよ」
「ありがと……冷てっ」
嬉しくて和に抱きつこうとしたら、
缶ビールを頬に押し付けられる。
「でも約束を忘れてた件は
俺……許してないからね?」
頬をぷぅっと膨らませて……
ウルウルな目で睨んで……
怒ってるつもりなんだろうか?
「じゃあ機嫌……直してもらわないとね?」
缶ビールを持った手をグッと引っ張った。