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素晴らしき世界

第40章 一年で一番可愛い日

『いつも思ってた。大野さんと翔は……互いに特別な存在じゃないかって』

「何……で?」

言葉に詰まりながらも、素直に疑問をぶつける。

『信頼し合っているというか……俺にはない……強い絆が2人にはある』


何だ……そんな事、気にしてたんだ。


ここで誤解を解く事は可能だけど、ずっと我慢していたであろう和也の言葉を最後まで聞きたかった。


『好きだって告白して……恋人になった。きっと大野さんより強い絆が出来ると思った』

言葉が止まると、堰を切ったようにまた涙が溢れてきた。

『でも……出来なかった』

下を向き、手を顔に覆って身体を震わせて泣いている。

「和也」

呼んでも首を振って上を向いてくれない。

「和也、聞いて」

覆っていた手を無理やり剥がし、頬を包んで俺と目を合わせさせる。

「俺と和也の間には……大野さんと俺の絆は作る事は出来ない」

『じゃあ……』

「正確には……作れなかった」

『…えっ?』

言葉の意味が分からず、ジッと俺を見つめて言葉を待つ。

「俺と和也の関係が変わったから」

『だったら……』

和也の言葉を遮って俺は話を続ける。

「確かに大野さんとの間には強い絆がある。それはメンバーというか……同志。きっとそれは相葉くんと松潤ともある」

『俺には……ないの?』

唇を噛んで必死に涙をこらえる。

俺はその瞳にキスをして涙を吸い取った。


「ちゃーんとあるよ?恋人っていう……強くて赤い運命の絆」


和也の手を取ると、可愛い小指と俺の小指を絡ませた。

「その絆より……大野さんと俺との絆がいいの?」

和也は取れちゃうんじゃないかってくらいに何度も首を横に振る。

その頬を包み、動きを止めると優しく唇に触れた。

「こんな事も……出来ないよ?いいの?」

『嫌だ……して欲しい』

潤んだ目で俺を見つめる。

『大野さんとの絆では出来ない事……もっと……して?』

やっと、素直な気持ちを吐露してくれた。

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