テキストサイズ

素晴らしき世界

第7章 優しいサンタクロース

【ニノside】

ようやく仕事が終わって
雅紀の住んでいるマンションへ。

ギリギリ誕生日が終わるまでに
帰れてよかった……

あれ?電気がついていない……

もう、寝ちゃったのかな?

俺はそっと合鍵で部屋のドアを開けた。

暗い廊下を手で壁を触りながら歩き、
リビングの電気をつける。

するとソファーに座る
雅紀の姿が見えた。

「うわっ!ビックリした……
電気もつけないでどうしたの?」

俺の問いかけに下を向いたまま
何も答えてくれない。

「もしかして、体調悪いの?」

首を何回も横に振った。

「俺、何かした?」

さっきよりも激しく首を横に振った。

するとすすり泣く声が聞こえてきた。

俺は慌てて雅紀の隣に座り
頬を両手で包み
無理やり俺の方に顔を向けた。

綺麗な瞳から、涙がポロポロと落ちる。

親指の腹で拭っても次々に流れてくる。

「何があったの?」

雅紀の目をジッと見つめる。

相「ニノ、ごめん……俺っ!」

「うわっ……」

俺に抱きついてきた。

俺の胸で肩を揺らしながら泣いている
雅紀の背中をゆっくりと擦る。

暫くしたら、
背中に回していた手の力が緩んだ。

そっと顔を覗いたら、泣き疲れて眠っていた。

とりあえずソファーに寝かせて、
ブランケットをかける。

「あっ、忘れてた」

玄関に置いていた荷物を取りに行く。

スタッフから貰ったものを
冷蔵庫に入れたときに違和感があった。

あれっ?ケーキがない……

今から帰るって連絡してなかったから、
出してるはずはないし……

ふと、テーブルに目をやると小さな透明な箱に
何かが入ってるのが見えた。

俺は、手に取り中身を見た。

「これ……」

すべてを察した。

だから雅紀が泣いてたんだ……

ソファーで寝ている
雅紀の隣に座って髪を撫でた。


バカだなぁ……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ