素晴らしき世界
第9章 家族ゲーム Ⅱ
「さっき電話番号聞いてきたヤツ、
間違いなく智に惚れてるぜ」
大学に帰るマイクロバスの中で
隣に座る翔が俺に耳打ちした。
「えっ?ないない。相手は高校生だよ?」
「智が俺に会ったときと同じ顔してた」
……あの日、
翔を見た瞬間に俺は恋に落ちた。
その事を翔が
覚えてくれていたのが嬉しかった。
俺は松本くんとのやり取りを話した。
俺が楽しそうに松本くんの話したら
『やきもち』を妬いてくれるかも……
付き合っていたが、俺ばっかりが
翔の事が好きなんじゃないかって不安だった。
翔の気持ちが知れるチャンスだとくった。
それが恐ろしい計画の
始まりになるとは知らずに、
松本くんの祖父の事も話した。
その瞬間、翔が笑い出した。
「えっ?どうしたの、翔?」
「やっぱり、智と付き合ってよかった」
今までに見たことのない、
喜びに満ち溢れた笑顔を俺に向けた。
翔の気持ちを知ることはできたが、
俺が望んでいた答えではなかった……
「どういうこと?」
「智は何も考えなくていい。
俺の指示にしたがってくれれば……」
「指示ってなに?」
「松本くんと付き合って」
想像もしていなかったことを
突然言われると驚くことを忘れて、
逆に冷静になれた。
「俺は翔と付き合って……」
「誰が別れるって言った?
智は俺の事好きだろ?」
怒ったような口調で少し怖かった。
「うん……」
「俺に幸せになって欲しいだろ?」
俺は頷いた。
『俺たち』じゃないんだ……
でも、翔が幸せになるなら……
俺も幸せになれる……
さっき見た笑顔を見れるなら……
惚れた弱味だろうか?
翔の指示を断ることは出来なかった。
そこからは翔の指示通り動いたら、
面白いほど筋書き通り物事は進んだ。
でも、俺の思い描いた筋書きとは違った。
あの時見た翔の笑顔を見ることはなかった。
そして翔が俺の事をどう思っているか、
益々わからなくなった。
俺の事を求めてくれるのは、
ほんの一瞬だけ。
でも、その一瞬が
まるで中毒のようにまた見たくなる。
離れることができない。
翔は俺の愛してる?
俺は翔の事を愛してる?
この答えはいつでるのだろう……
今日もそんな自問自答をしながら、
偽りの家族が待つ、家路に向かった。
間違いなく智に惚れてるぜ」
大学に帰るマイクロバスの中で
隣に座る翔が俺に耳打ちした。
「えっ?ないない。相手は高校生だよ?」
「智が俺に会ったときと同じ顔してた」
……あの日、
翔を見た瞬間に俺は恋に落ちた。
その事を翔が
覚えてくれていたのが嬉しかった。
俺は松本くんとのやり取りを話した。
俺が楽しそうに松本くんの話したら
『やきもち』を妬いてくれるかも……
付き合っていたが、俺ばっかりが
翔の事が好きなんじゃないかって不安だった。
翔の気持ちが知れるチャンスだとくった。
それが恐ろしい計画の
始まりになるとは知らずに、
松本くんの祖父の事も話した。
その瞬間、翔が笑い出した。
「えっ?どうしたの、翔?」
「やっぱり、智と付き合ってよかった」
今までに見たことのない、
喜びに満ち溢れた笑顔を俺に向けた。
翔の気持ちを知ることはできたが、
俺が望んでいた答えではなかった……
「どういうこと?」
「智は何も考えなくていい。
俺の指示にしたがってくれれば……」
「指示ってなに?」
「松本くんと付き合って」
想像もしていなかったことを
突然言われると驚くことを忘れて、
逆に冷静になれた。
「俺は翔と付き合って……」
「誰が別れるって言った?
智は俺の事好きだろ?」
怒ったような口調で少し怖かった。
「うん……」
「俺に幸せになって欲しいだろ?」
俺は頷いた。
『俺たち』じゃないんだ……
でも、翔が幸せになるなら……
俺も幸せになれる……
さっき見た笑顔を見れるなら……
惚れた弱味だろうか?
翔の指示を断ることは出来なかった。
そこからは翔の指示通り動いたら、
面白いほど筋書き通り物事は進んだ。
でも、俺の思い描いた筋書きとは違った。
あの時見た翔の笑顔を見ることはなかった。
そして翔が俺の事をどう思っているか、
益々わからなくなった。
俺の事を求めてくれるのは、
ほんの一瞬だけ。
でも、その一瞬が
まるで中毒のようにまた見たくなる。
離れることができない。
翔は俺の愛してる?
俺は翔の事を愛してる?
この答えはいつでるのだろう……
今日もそんな自問自答をしながら、
偽りの家族が待つ、家路に向かった。