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素晴らしき世界

第14章 可愛すぎる理由

楽屋に到着すると先客がいた。

「おはよー」

キャップを取り、頭を掻く。

「おはよー、相変わらず寝癖すごいね」

俺とは対照的にビシッと決まっている松潤。

グラサンもしてないし、
今日は機嫌がいいみたいだな……

「帽子かぶったらわかんないし、
どうせすぐ、セットするでしょ?」

荷物を置いて定位置に座る。

「はい、どーぞ」

松潤がコーヒー差し出す。

「ありがとう」

俺はコーヒーを啜る。

「あのさぁ……」

「ん?」

紙コップ越しに俺を見る。

「何かいいことあった?」

「夜にあるよ」

珍しく素直な松潤に驚いた。

よっぽど嬉しいことなんだろうな……

きっと『恋人』絡みだろう。

言いたい気持ちをグッと抑えた。

これ以上ツッコんだら
キレられそうだもんな……

「もう、有り得ないよ!」

「ごめんって、ニノー」

怒るニノに必死に後ろから
手を合わせて謝っている。

ニノは俺の隣に勢いよく腰を下ろした。

「どうしたのよ?一体……」

「もう、聞いてくださいよ!翔さん」

すると楽屋のドアがまた開いた。

「おはよー」

欠伸をしながら智が入って来た。

「おはよー、
相変わらず眠そうだね」

潤が苦笑いをする。

「おはよー」

俺は普通に挨拶をする。

仕事場では俺たちは『恋人』じゃなく
『メンバーの一人』として接する。

これが俺たちのルール。

メンバーは俺たちが
付き合っている事は知っている。

どうしても智が伝えたいと言ったから。

俺もメンバーには
隠し事はしたくなかった。

でも、智にはもう一つ理由が
あったんじゃないかと
最近思うようになった。

今日も眠くないのに
欠伸なんかしちゃって……

「ねぇ、翔さん。聞いてる?」

俺の顔をニノが覗き込む。

「ごめん、ボーっとしてた。
どうしたの?」

「俺がゲームしながら歩いてたら、
後ろからこのバカが来て」

「おいっ、バカって言うな!」

ソファーの縁に座り、俺の隣で反論する。

「ばーか、ばーか」

「おい!いい加減にしろよ」

「キャー、翔さん怖いよー!」

ふざけながら、俺の身体を
盾にして背中に隠れた。

「隠れんじゃねー」

俺の身体越しにニノを捕まえようとする。

ニノは俺の身体左右に振って逃げる。

すると、反対側に座っていた智が
大きな欠伸をしてた。

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