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素晴らしき世界

第14章 可愛すぎる理由

【智side】

翔の家を出て、一旦自宅へ帰る。

暫くするとスマホが着信を告げる。

マネージャーの到着合図だ。

次に翔に出会うときは、
『恋人の櫻井翔』ではなく
『メンバーの櫻井翔』

翔くんは真面目でしっかりしてるから
きっちりプライベートと切り分けて
俺と接してくれる。

たまに恋人として
優しく接してくれる時もあるけどね。

楽屋に入る前に深呼吸して
仕事モードスイッチを入れる。

でも、そのスイッチは
簡単に切れてしまった。

楽屋に入ると、
ニノが翔さんの隣に座っていた。

俺はみんなに『おはよー』と
声をかけつつ、欠伸をした。

すると目線は俺に向いた。

「おはよー、
相変わらず眠そうだね」

松潤が俺に声をかけてくれた。

違うんだよ……

ニノに食い付いて欲しかったのに……

俺の思いとは裏腹に
ニノは翔さんとの距離を詰める。

近すぎるよ!離れてー!

心の叫びは段々と大きくなる。

ニノが何やら文句を言っている。

聞こえているのに内容が入って来ない。

すると今度は相葉ちゃんが
翔の隣に腰かける。

もう、相葉ちゃんまで
俺の翔に近づかないでよ!

相葉ちゃんも何やら反論している。

もう、喧嘩なら
翔さんの間でしなくていいでしょ!

あっ、ニノが翔さんに触れた。

翔の身体に触れていいのは
俺だけなのに……

あっ、今度は相葉ちゃんが
ニノを捕まえようと翔に触れた。

もう、文句を言う元気も
なくなってきたよ……

俺は欠伸をして、
楽屋のテーブルにうつ伏せになる。

見てられない……

嫉妬で狂いそうになる……

俺の翔なのに……

でも、相葉ちゃんもニノも悪くない。

俺の心が狭いだけ……

メンバーは俺と翔が
付き合っているのを知ってる。

どうしても伝えたかった。

誰にも翔を取られたくなかった。

それが大切なメンバーであっても……

俺の心配を余所に
3人は笑顔で祝福してくれた。

なのにこんな気持ちを抱いてしまう
自分に腹が立つ。

いつか取られてしまうんじゃないか……

メンバーだけじゃない……

翔に関わる全ての人に。

色んな事を考えていたら、
段々と頭が痛くなってきた。

翔と相葉ちゃんとニノの
やり取りは聞こえたが、
シャットアウトするように
意識を夢の中に飛ばした。

夢の中では幸せでありますように……

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